交通誘導員ってどんな仕事?気になる疑問を解説!
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- 公開日:2022年6月 6日
駐車場や道路で旗や誘導棒を使い、車を誘導している人を一度は見たことがあるでしょう。もちろん警察官が行っているケースもありますが、駐車場や工事現場で見かけるのは、民間の警備会社で働く「交通誘導員」。どちらも車と歩行者を安全に誘導する仕事のように思えますが、実は警備員が行う「交通誘導」は警察官が行う「交通整備」とは、少し異なるポイントがあるのです。そこで今回は、「交通誘導」と「交通整備」の違いをはじめ、気になる交通誘導員の仕事について詳しくお伝えしていきます。
交通誘導員の仕事内容とは?
交通誘導とは警備業務の中のひとつであり、「警備業法」の第二条第二号(※1)にその業務内容が定義されています。
大まかに言えば、交通誘導とは、事故の発生を防止するために車と歩行者を安全に誘導する仕事ということです。
「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」
※1 e- gov 法令検索「警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)」
スムーズな交通に必要不可欠な存在
また、渋滞を解消するのも交通誘導員の大きな役割です。
工事現場はもちろんのこと、人の出入りが多いショッピングモールなど商業施設や、車の出入りが多い道路と面した駐車場など、活躍の画面は多岐にわたる仕事です。
交通誘導と交通整理の違い
交通誘導も交通整理も事故の発生を防ぐ仕事では無いのか?と思われるかもしれませんが、異なっているのは業務内容ではなく、その「法的拘束力」。
警備業法第15条(※1)には「警備業務実施の基本原則」として、以下の内容が明記されています。
「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」
つまり、警備員=交通誘導員の誘導は、基本的に法的拘束力はなく、何か損害が生じた場合は警察に通報する、という手段を取ることになります。
一方、警察官や交通巡視員の行う「交通整備」は公権力の行使であり、ドライバーにはそれに従う義務が生じます。
これは道路交通法第6条(※2)に「警察官等の交通規制」として明記されており、車の混雑が予想される道路をはじめ、損壊した道路や火災など、「交通の危険が生ずるおそれがある場合において、当該道路における危険を防止するため緊急の必要があると認めるとき」に通行禁止や異なる交通方法を指示することができる、と定義されています。
つまり、緊急性、ならびに事故の発生率が高い現場においては交通整備がなされることが多く、日常的に行われるのが交通誘導といえるでしょう。
※2 e- gov 法令検索「道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)」
実は国家資格が必要?
交通整備より簡単に思える交通誘導。確かに未経験者でも始めやすく年齢制限もないため、幅広い世代がチャレンジできる仕事であり、一般的に資格や特別なスキルが無くても就くことができる仕事です。
しかし、前述した「警備業法」により交通誘導員の配置基準が定められており、現場によっては有資格者を配置しなければならない場合もあるのです。
一般道での交通誘導に特に資格は要りませんが、高速道路や自動車専用道路においては、交通誘導警備業検定2級以上の資格を保有した警備員を配置させる義務が課せられています。
1級と2級の違いは?
警備員検定は6つの分野に分かれています。
施設警備業務、空港保安警備業務、雑踏警備業務、交通誘導警備業務、貴重品運搬警備業務、核燃料物質等危険物運搬警備業務であり、それぞれ1級と2級が存在します。
2級は条件や実務経験などが問われることはなく、警備員になる前でも取得することができます。
1級はまず受験するために、「2級資格を取得している」ことと、「2級を取得した後、警備業務に関する実務経験1年以上」が必要となります。その分、1級は必要とされる場面も多く、管理者や責任者を任されるポジションになってきます。
このように、無資格からチャレンジできる仕事ですが、資格があるとよりキャリアアップや収入アップを目指しやすいと言えるでしょう。
資格取得は難しい?
資格を取得するためには、学科試験と実習試験に合格する必要があります。
学科試験はマークシート式で、全20問。警備業法に関する基本的なことや法令、道路交通法や交通誘導警備業務に関する専門知識です。実技試験は交通誘導の基本動作、警笛の使い方、緊急事態への対応など多岐にわたります。
講義を受講して試験に合格するか、直接試験を受験するかの2つのパターンがありますが、取得率はやはり前者の方が高い一方、直接試験を受けた方が金額は安いため、自分に合わせた方法を選びましょう。
交通誘導員として働くメリット
では、交通誘導員として働くメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。下記にお伝えしていきます。
年齢関係なく挑戦しやすい
前述したように、交通誘導員は資格や特別なスキルが無くともチャレンジできる仕事です。
そのため、これまでの職歴やブランクを問わず、なおかつ年齢制限もない求人が多く、退職後まだまだ働いていたい、というよう方でも充分に力を発揮できる職業と言えるでしょう。
日払いや週払いに対応している
交通誘導員の仕事は短時間、短期間勤務も多く、そのため給料の支払い方法も日払いや週払いなど、柔軟に対応している求人も多数あります。
そのため、すぐに給料が欲しい、という方にもオススメの仕事です。
現場次第で多く稼げる
交通誘導員は未経験からでもチャレンジしやすいぶん、平均給与の水準は低めです。
ですが、資格手当や夜間帯の勤務での手当は充実しており、日給1万円が可能となる求人もあります。
そのため、「まだまだ稼ぎたい」という方でもチャレンジしやすい仕事と言えるでしょう。
プライベートと調整しやすいシフト体制
前述したように、交通誘導員の仕事は固定勤務もあれば、短時間、短期間勤務も存在し、柔軟な働き方ができるのが特徴です。
そのため、フルタイムの勤務は難しいが、短時間であれば仕事がしたいという方や、社会参画のために労働がしたいという方にはオススメの仕事と言えます。
交通誘導員として働くデメリット
ここまでメリットをご紹介してきましたが、人によってはデメリットと感じる部分も。詳しくお伝えしていきます。
体を使う仕事
当然ながら、交通誘導員は基本立ち仕事です。
もちろん休憩などはありますが、勤務中は基本、立って業務にあたることになります。
体力に自信のない方や、オフィスワーク中心だった方は、まずは短時間勤務から体を慣らしていくことをオススメします。
商業施設ではなく、道路や工事現場の場合、雨天や季節に関わらず外で働く必要も出てきます。自分の体力や体調と相談しながら業務にあたる必要は出てくるでしょう。
働く場所が頻繁に変わる可能性も
商業施設ではなく、工事現場などで交通誘導員をする場合、短期間で勤務地が変わる可能性があります。そのため、場合によっては家から遠方の現場に出向く必要もあるでしょう。
慣れてきたのに、すぐに場所が変わってしまい誘導に手間取ってしまう可能性も。
できるだけ固定された場所で働きたい、という方はデメリットに感じるかもしれません。
天候によって給料が減ることがある
駐車場ではなく工事現場などで交通誘導員をする場合、雨天時は現場も休みとなるので、その分勤務時間が減って給料が少なくなる可能性があります。
日払いや週払いで、早めに給料が欲しいという方は、悪天候での勤務はどうなるのか、きちんと調べた上で求人に応募するのがベターでしょう。
交通誘導員に向いている人、向いていない人
ここまで業務内容やメリット・デメリットなどをお伝えしてきましたが、ここからは交通誘導員が向いている方・向いていない方についてお伝えしていきます。
もし、交通誘導員に応募しようか迷っていている方は、ぜひ参考にしてみてください。
向いている人:健康のためにも体を動かす仕事につきたい人
激しく体を動かすわけではありませんが、交通誘導員は立ったり歩いたりと、適度に体を動かす仕事です。
特に退職後で運動不足が気になる人、また日頃から運動をしていて、体を動かす職業を探している人は、交通誘導員の仕事も候補のひとつとなるでしょう。
向いている人:報連相がしっかりできる方
場合によっては、自分ひとりで解決できない事態に遭遇することもあります。
その際、「自分の仕事の範囲じゃない」と投げ出さず、かといって一人で解決しようと先走るのではなく、会社に連絡、相談し、事態解決のために尽力できる人は重宝されるでしょう。
向いていない人:オフィスワーク中心だった人
前述したように、交通誘導員は体を動かす仕事であり、日中、夜間ともに外で働くのがメインの仕事です。
そのためオフィスワーク中心で、空調のない職場では体調が不安な方、体をあまり動かしてこなかった方は、ご自身の体と相談して、無理のない範囲で仕事を選択する必要があるでしょう。
交通誘導員として働く上でよくある疑問
トイレ事情について
交通誘導員になるにあたり、まず気になるのはトイレ事情でしょう。
実際、排泄は生理現象ですので、勤務中はトイレに行けない!というようなことはありません。現場のスタッフと連絡を取り合い、交代でトイレに行くことは充分に可能です。
工事現場など、外での勤務ではそもそもトイレがあるのか、という不安もあるかもしれません。
現在、仮設トイレの設置は義務では無いものの「基本」となっており、予算に「仮設トイレ設置費用」が計上される工事がほとんどです。
業務に集中するためには必要なことですので、不安を覚えるならば、ぜひ質問してみましょう。
将来性について
交通誘導員に将来性は、当然のことながら交通量や工事量に左右されることになります。
近年はコロナ禍の影響で外出も控える傾向が続き、将来性に不安を抱く人もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、建築×テクノロジーの最前線メディア「BUILT」(※3)によると、2020年度の土木工事数は堅調に推移しており、また国内の建物も築50年を過ぎた建物が増えていることから、今後も工事現場には多くの交通誘導員が必要となってくると言えます。
土木工事以外にも、信号や通信工事など、交通誘導員が必要となってくる場面は増えています。交通誘導員の将来性は堅調である、ということができるでしょう。
社会保険について
労災保険はもちろんのこと、雇用保険や健康保険など、交通誘導員で社会保険に加入できるかどうか、不安に思っている方もいらっしゃることでしょう。
これに関しては、雇用形態や会社によって異なる面が大きく、社会保険が適用されるかどうか、求人の時点できちんとチェックするか、一度質問するのが良いでしょう。
特に業務中に怪我をした場合の労災保険や、加入することで会社が保険料の半分を払ってくれる健康保険、年金保険など、社会保険は入るメリットが大きいため、できることなら加入することをオススメします。
大手企業だと福利厚生が充実している傾向にあるので、もし社会保険に加入したいのであれば、きちんと求人をチェックしていきましょう。
まとめ
今回は交通誘導員の仕事内容から、メリット・デメリット、よくある疑問まで詳しくお伝えしてきました。
前述したように、交通誘導員は職歴・ブランク不問の求人が多く、年齢制限もないため、退職後にも始めやすい仕事と言えます。ぜひ今回お伝えしたことを活かして、ピッタリの求人を探してみてください。