パートでも退職金はもらえる? 退職金の仕組みや相場を解説

  • ちょっと得する知識

「正社員でなければ退職金はもらえない」と思っているみなさん。実はパート勤務でも退職金をもらえるケースもあるのです。退職金が支払われるための条件や退職金の相場をあらかじめ理解しておいて、満足の退職を迎えましょう!

パートで退職金が支払われる条件

パートでも退職金がもらえるケースとは?

退職金とは、文字通り勤務していた会社を退職する時に支払われる手当のこと。「正社員が長年勤めてきた会社を定年退職するときに受け取るお金」とイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、一部の企業ではパート勤務でも退職金が支払われるケースもあります。

法律では退職金に関する明確な基準がないため、各企業がそれぞれ退職金の支払いに関する規程を定めています。そのため、退職金制度そのものを設けていない会社もあれば、パート勤務でも条件を満たせば退職金を支払う会社もあるのです。

どうすれば退職金が出るかの確認ができる?

パートでも退職金が出るかを確認するためには、まずは就業規則に「退職金に関する規定」を確認し、規定がある場合は「パートに退職金が支払われるか」どうかを確認してみましょう。

退職金制度があっても、「パート・アルバイトは適用しない」といった記述がある場合は、残念ながら退職金を受け取ることはできません。もし、就業規則に退職金に関する記述が見当たらない場合は、パート勤務を始めた時に会社から受け取った文書を確認してみましょう。

パートタイム労働法第6条で、「会社がパートタイム労働者を雇い入れる時、『昇給の有無』『退職手当の有無』『賞与の有無』を文書の交付等により明示しなければならない」と定められています。万が一、退職金に関する記述が見当たらない場合は、直属の上司に確認してください。

退職金が支払われる条件とは?

では、どのような条件を満たすと、退職金が支払われるのでしょうか。この基準もまた、会社によってまちまちで、就業規則に書かれている退職金規程に沿って支払われます。

パート勤務の場合、会社が定める年数を超えて勤務することで、退職金支払いの対象となることが多いようです。たとえば、「10年以上勤務」と就業規則に書かれていた場合、10年以上継続して勤務していれば条件を満たすことになります。

会社によっては、退職金ではなく「○○年勤続表彰」のような制度を設けている企業も。「これってパートでも適用されるのかな」と疑問があれば聞いてみるようにしましょう。

パートの退職金。どんな仕組みになっているの?

「就業規則に『パートへの退職金制度がある』と書かれて、『退職金支給の条件』を満たしていれば、退職金がもらえることはわかったけれど、そもそも退職金にはどんな制度があるの?」――そんな疑問を抱いたあなた。ここでは、退職金の制度の一つである「中小企業退職金共済制度」について説明します。

退職金制度を定めている企業は、様々な方法で、退職金の準備をします。大手企業では独自に設けることもありますが、中小企業の場合は、退職金の制度の一つである「中小企業退職金共済制度」を利用することが多いようです。

これは、1959年に国の中小企業対策の一つとして制定された「中小企業退職金共済法」によるもので、36万7千カ所の事業所・343万人の従業員が加入しています。掛け金は非課税で、パートやアルバイトなど短時間労働者は一般の従業員よりも低い特例掛金を用意するなどの特典もあります。

このほか、民間の保険会社の金融商品を利用して、退職金の原資の積立をする会社もあります。

パートの退職金。いくらもらえるの?

パートの退職金。相場はどれくらい?

次に、退職金の支給額について説明します。パート勤務の場合、いくらぐらい退職金を受け取ることができるのでしょうか。「中小企業退職金共済制度」を利用した場合の例を紹介します。

前述の通り、パートやアルバイトなど短時間労働者は一般の従業員よりも低い特例掛金が用意されています。特例掛金は2,000円、3,000円、4,000円の3種類。さらに全従業員が選択可能な掛け金として、5,000円から30,000円まで16種類の掛金があります。

退職時に受け取る退職金額は、掛金及び法令で定められている予定運用利回りを足した額となります。予定運用利回りよりも実際の運用利回りが上回っている場合は、その分がさらに加算されます。ここではわかりやすく、積み立てた掛金の額で計算します。

【勤続年数5年・掛金月額2,000円の場合】
2,000円×60か月=120,000円の退職金を受け取ることができます。

【勤続年数10年・掛金月額4,000円の場合】
4,000円×120か月=480,000円の退職金を受け取ることができます。

中小企業退職金共済事業本部のホームページで、退職金のシミュレーションができます。掛け金や納付月数を入力すれば、予定運用利回りなども含めた額が表示されるので、ぜひ活用してみてください。

パート勤務の場合、「寸志」というカタチで退職金を渡すケースもあるようです。これまで勤務してくれたことをねぎらう気持ちも込めて支払われるもののため、支給される額は気持ち程度と思っておくと良いでしょう。

パートの退職金でも税金はかかるの?

「もしかして、退職金にも税金はかかるの?」と思ったみなさん。退職金も課税の対象となります。そもそも、退職金は「退職所得」と定義づけられており、毎月受け取る「給与所得」とは別のものとして計算します。

受け取った退職金から「退職所得控除額」を差し引いた額が、課税の対象となります。退職金控除は、勤続年数が20年以下の場合は400,000円×勤続年数で算出します。20年を超える場合は、800万円+70万円×(勤続年数-20年)で算出します。たとえば10年3か月勤務した場合は、端数の3か月を1年として計算するので、勤続年数は11年になります。

パート勤務の場合、退職金額を退職所得控除額が上回ることが多いと思います。つまり、退職金は課税対象とはなりますが、控除によって所得税の支払いが発生しないケースがほとんどです。

なお、退職金を受け取るときに「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、上記の計算のとおり、多くの場合、税金はかかりませんが、この申告を行わない場合は、その退職金の20.42%の税率で源泉徴収が行われることとなります。

いつか受け取る退職金が、日々の仕事のモチベーションに!

パートでも退職金を受け取れる場合がある! そう考えると、働く意欲が一気に増してきますよね。すでにパート勤務で働いている人は、勤務している会社に退職金制度があるかすぐに確認しましょう。企業によって異なりますが、支給基準が正社員と同一とされている企業も存在します。

そして、「10年勤務すれば退職金がもらえたのに、9年11か月で退職してしまった!」などと後悔しないように、退職金支給の条件を良く読んでおきましょう。これからパート勤務をする予定の方は、入社時に受け取る書類をくまなくチェック! 退職金制度の有無を確認しておきましょう。

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