50代女性に関する調査。仕事の探し方と、求人を見つけた後の行動について
- 自分の相場を知る
- 公開日:2018年5月 9日
50代にさしかかり、最後の転職、または子どもの手も離れたので働きに出たいと考え始める女性もいるのでは。この年代からの転職は現実的か、他の女性はどのように活動しているのかなど、気になることは山積みでしょう。「もう一花咲かせたい」と考える女性を応援すべく、50代女性のリアルな声をご紹介します。
50代の女性が求人情報を探す際に取る行動とは?
マイナビミドルシニアでは、現在転職活動をしている、もしくは情報収集段階にある50代の女性を対象として、求人の探し方に関するアンケートを行いました。働きながら仕事探しをしている層(以下就業中層)、無職・専業主婦の層(以下専業主婦層)に分類し、回答の傾向をご紹介していきます。
<調査概要>
【調査対象】 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県に在住で、「現在転職・就職活動中」「転職・就職についての情報収集をしている(具体的な活動はしていない)」「情報収集も具体的な活動もしていないが、将来的に転職・就職を検討している」と回答した50歳から59歳の女性
【回答者数】 223人
【調査方法】 インターネット調査(調査会社の登録モニター活用)
【調査期間】 2017年5月10日(水)~5月17日(水)
求人情報を探す際、どのような行動を行いますか
就業中層 | 専業主婦層 | |
回答数 | 112 | 111 |
求人情報サイトで探す | 68.8% | 78.4% |
ハローワークに登録する | 36.6% | 28.8% |
求人誌・フリーペーパーに目を通す | 35.7% | 49.5% |
タウン情報誌や折込チラシに目を通す | 31.2% | 45.9% |
新聞の求人広告に目を通す | 25.0% | 27.0% |
就職/転職エージェントに登録する | 18.8% | 5.4% |
個人的な紹介を受ける | 18.8% | 12.6% |
店舗の張り紙に目を通す | 14.3% | 24.3% |
共通した傾向として「求人情報サイト」をメインの情報収集手段にしていることがわかります。近年の50代女性はパソコンやスマホ機器を問題なく使いこなせる方も多く、インターネットを通じた転職活動を難なくこなしているようです。限られた時間の中でより多くの情報に触れるには都合が良い媒体であることも理由でしょう。その他の情報収集手段に関しては、それぞれ異なる傾向が見られました。
■就業中層の特徴
「ハローワークに登録する」が36.6%と一定の支持を得ており、公的機関に集まる情報も参考にしようとする意向が見られます。「求人誌・フリーペーパーに目を通す」も35.7%と比較的高水準ですが、無職・専業主婦層ほど高い数字にはなっていません。
■無職・専業主婦層の特徴
約半数が「求人誌・フリーペーパーに目を通す」「タウン情報誌や折込チラシに目を通す」としていて、これまで親しんだ紙媒体を活用する傾向が見られます。「店舗の張り紙に目を通す」も24.3%と就業中層よりも高い水準になっていて、自らの行動範囲においても求人情報のアンテナを立てている方も多いようです。
じっくり吟味のうえ応募が多い50代女性
興味のある求人を見つけたら、どんな行動を取りますか
就業中層 | 専業主婦層 | |
回答数 | 77 | 87 |
お気に入り・検討リストに保存しておく | 55.8% | 51.7% |
会社のHPを閲覧する | 49.4% | 50.6% |
すぐに応募を行う | 22.1% | 13.8% |
まず、求人サイトの会員登録を行う | 20.8% | 20.7% |
他媒体で同じ求人が出ているかを確認する | 20.8% | 24.1% |
家族や知り合いに相談する | 13.0% | 17.2% |
結局応募しない | 11.7% | 8.0% |
(店舗などの場合)求人先に見学にいく | 6.5% | 12.6% |
次に、興味のある求人を見つけた時にとる行動に関して見てみましょう。大きな特徴は、「すぐに応募する」と回答した率が、調査を行った全年代の中で最も低いこと。「お気に入り・検討リストに保存しておく」「会社のHPを閲覧する」が半数近い回答率になっていることからも、じっくり比較検討しようとする姿勢がわかります。
■就業中層の特徴
「結局応募しない」と答えた女性の割合が11.7%と、無職・専業主婦層を上回る水準です。新しい仕事に関心を示しつつも、50代に入ってから環境を変えることに対して、不安を感じる気持ちの反映でしょう。
■無職・専業主婦層の特徴
「他媒体で同じ求人が出ているかを確認する」と答える女性の割合が就業中層より高く、念には念を入れて情報収集する方が目立つようです。「求人先に見学にいく」と自分の足を使って情報収集する方も多く存在し、慎重な姿勢が読み取れます。
転職先に求める条件・待遇は?
転職活動・または仕事探しを行うにあたって重視する項目をそれぞれ教えてください
仕事探しするにあたって重視する項目は、人それぞれ異なるものです。収入をたくさん得たい、ライフスタイルに合わせて働きたいなどいろいろな要望が考えられますが、それぞれの層で考え方の違いはあるのでしょうか。収入軸・仕事観・通勤利便性・こだわるポイントと4つの軸から回答を比較してみましょう。
【収入軸】
就業中層 | 専業主婦層 | |
回答数 | 112 | 111 |
今よりも高い収入を求める | 40.2% | 9.0% |
今の収入を維持する | 32.1% | 6.3% |
金額にこだわらず、一定の収入を得る | 20.5% | 30.6% |
就業中層では「今よりも高い収入を求める」女性が40.2%に上ったことからも、豊富なキャリアやスキルを武器にして、より高収入な仕事をしたいと考えていることがわかります。
一方、無職・専業主婦層では「金額にこだわらず、一定の収入を得る」が30.6%という結果に。好条件に越したことはないと思いながらも、就業中層ほど収入は重視しない方が多いようです。
【仕事観】
就業中層 | 専業主婦層 | |
経験・スキルを活かせる仕事に就く | 33.0% | 19.8% |
興味がある・やりたい仕事に就く | 46.4% | 45.0% |
長く働ける仕事に就く | 54.5% | 45.9% |
いずれの層も「長く働ける仕事に就く」への回答が目立ち、一般的な定年退職年齢やその先の将来まで考慮した転職を希望する傾向が強いようです。
無職・専業主婦層は「興味がある・やりたい仕事に就く」「長く働ける仕事に就く」が同じくらいの数値ですが、安定性に関する考え方は就業中層ほど強くないように感じられます。
【通勤利便性】
就業中層 | 専業主婦層 | |
家から近い職場で働く(最寄り駅など) | 45.5% | 59.5% |
駅から近い職場で働く(どの駅かはこだわらない) | 19.6% | 26.1% |
家から近すぎない職場で働く(家の最寄駅以外) | 10.7% | 18.0% |
どちらの層でも「家から近い職場で働く」ことに対する要望が強く、無職・専業主婦層でより顕著な傾向にあります。50代では家族の面倒をまだまだ見なければいけないこと、そしてこれまでよりも体力の衰えを感じ始める年代のため、身体に負担がかからない働き方を希望する方も多いのでしょう。生活圏に職場があることへの心理的な抵抗は比較的感じにくい方が多いようで、「家から近すぎない職場で働く(家の最寄駅ではない)」と答えた割合は、いずれの層でも2割以下でした。
【こだわるポイント】
就業中層 | 専業主婦層 | |
シフト・勤務時間にこだわる | 38.4% | 45.9% |
仕事内容ややりがいにこだわる | 40.2% | 31.5% |
給与にこだわる | 36.6% | 14.4% |
研修制度が整っている職場にこだわる | 6.2% | 8.1% |
就業中層では「仕事内容ややりがいにこだわる」とする声が40.2%にのぼり、シフトや給与よりも重視される傾向が見られました。定年退職が現実的な悩みとなってくる年代のため、「やはりやりたい仕事に就きたい」と考える人が多いのかもしれません。一方、無職・専業主婦層では「シフト・勤務時間」に対する希望が強く、今のライフスタイルを維持しながら収入を得ようとする考え方が表れています。
仕事探しで不安に感じていることは?
仕事を探すうえで心配なことはなんですか
就業中層 | 専業主婦層 | |
回答数 | 112 | 111 |
自分の年齢が募集対象か | 83.0% | 73.9% |
自宅からの通勤時間 | 67.9% | 70.3% |
交通費が支給されるか | 50.9% | 55.0% |
希望する収入を稼ぐことができるか | 50.0% | 20.7% |
自分の経験・スキルが活かせそうか | 49.1% | 39.6% |
長く勤務することができそうか | 44.6% | 27.0% |
自分の体力で問題なく働けそうか | 42.9% | 56.8% |
労働条件・制度に偽りはないか | 41.1% | 43.2% |
希望する勤務体系・シフトを確保できそうか | 39.3% | 48.6% |
ノルマがあるなど心理的負荷が高そうな仕事か | 35.7% | 37.8% |
突発的に発生する状況で休みが取れそうか | 30.4% | 45.9% |
同僚と馴染めそうか | 30.4% | 30.6% |
家庭と両立できそうか | 25.9% | 45.9% |
同年代の人がどれくらい働いているか | 24.1% | 33.3% |
50代女性の転職における心配事としては、「自分の年齢が募集対象か」を不安に感じる声が最も多く、就業中層では83.0%、無職・専業主婦層では73.9%の回答が見られました。仮に年齢条件をクリアできたとしても「自分の体力で問題なく働けそうか」と不安に感じる方も多いようで、就業中層では42.9%、無職・専業主婦層では56.8%の回答を得ています。その他の不安に関して、各層の違いと特徴を見ておきましょう。
■就業中層の特徴
「自分の経験・スキルが活かせそうか」を不安に感じる声が目立ち、回答率は49.1%です。「希望する収入を稼ぐことができるか」についても50.0%の回答が見られることから、スキルに見合った仕事に就いてそれなりの収入を目指したい、という意向が反映される結果となりました。シフトや家庭との両立に関する要望も見られますが、無職・専業主婦層ほどは顕著な傾向は出ませんでした。
■無職・専業主婦層の特徴
「家庭と両立」を不安に感じる傾向が強く「家族の病気など突発的に発生する状況での休み」「希望する勤務体系・シフトを確保する」にも4割を超える回答が見られました。無職・専業主婦層では、フルタイムの仕事を希望する方が少ないことも理由の一つでしょう。収入に対してはそこまで不安に感じない方も多いようで「希望する収入を稼ぐことができるか」への回答が20.7%にとどまりました。
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まとめ:50代女性の転職ではライフスタイルに合わせた環境選びが重要
50代の女性は自分自身の体力の衰え、両親の介護などいろいろな支障が出てくる年代にあたり、仕事探しを思いとどまる方もいます。しかし、ライフスタイルに合わせた多様な働き方が用意されている環境を選択すれば、そうした不安も解消できるはずです。
置かれている状況は人それぞれ異なりますが、情報収集しているだけではなかなか先には進めません。応募条件の年齢要件をクリアしている求人が見つかったらまずは応募してみる、ミドルシニアの転職に強いコンサルタントに相談するなど、前向きな行動が求められます。
人生の節目に際して仕事をコントロールしていくことで、より自分らしい生き方を実現できるのが理想です。これまで得てきた仕事の経験・スキルだけではなく、生活の知恵や子育て経験、地域活動を通して得たコミュニケーションスキルなど、自分なりの強みを今一度整理して、前向きな仕事探しを進めていきましょう。