退職後の手続きマニュアル|書類・年金・税金の手続きなどのやるべきことを解説

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退職後の手続きマニュアル|書類・年金・税金の手続きなどのやるべきことを解説

会社を退職する際には、業務の引き継ぎなどで手一杯になりがちですが、年金や保険の切り替えなど、しなければならない手続きがたくさんあります。そこで、退職する前に押さえておきたい退職後の手続きや流れ、書類などを紹介します。退職後にすぐに就職する場合や、退職後に一定の離職期間が発生する場合の両パターンで紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の目次

    退職後に必要な手続きの流れ

    退職後の手続きには順番や期限があるので、抜け漏れなく間に合うように具体的な流れを把握しておくことが重要です。まずは、必要な手続きの順番や期間を紹介します。

    1.住民税の支払い(退職前後)

    住民税は、前年1月から12月までの所得にかかる税額をその年の6月から翌年の5月までに納めなければなりません。住民税の納付方法には「給与特別徴収」と「普通徴収」の2種類あり、退職後1ヶ月程度で次の就職先に入社する場合と、離職期間が1ヶ月以上ある場合で手続きが異なります。

    ■退職後1ヶ月程度で転職する場合は「給与特別徴収」
    「給与特別徴収」とは、本人に代わって給与支払者が住民税を納める方法です。毎月の給与から天引きし、その年の6月から翌年5月まで12等分して納めます。

    会社員はこの方式での納付が一般的で、退職後1ヶ月程度で次の就職先に入社する場合は、転職先で支払います。手続きの方法は、転職先の担当者に住民税の手続きを依頼して「異動届出書」を提出するだけで完了です。

    ■離職期間が1ヶ月以上ある場合は「普通徴収」
    「普通徴収」とは、給与支払者ではなく自分で住民税を納める方法です。退職する月によって手続きの方法が異なってきます。1月から5月に退職した場合、手続きは必要ありません。退職日から5月までに支払う必要のある住民税が、最後の給与から天引きされます。

    6月から12月に退職する場合、希望すれば翌年の5月分までの住民税を最後の給与から一括で天引きすることができます。退職日までに担当者に手続きを依頼します。退職日までに一括での天引きをお願いできなかった場合は、自動的に普通徴収に切り替わります。

    普通徴収に切り替わると、自治体から納付書が届きます。住民税の納付を一括で行うか、分割にするかは、自身の都合に合わせて選択しましょう。

    2.失業保険の申請(退職後すぐ)

    退職後すぐに次の就職先に入社する場合は、失業保険の申請は必要ありませんが、退職後に離職期間がある場合は、失業保険の申請を行いましょう。失業保険(手当)を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。

    ・雇用保険に加入して保険料を支払っている
    ・退職日以前の2年間に12ヶ月以上の雇用保険の被保険者期間がある(※会社都合の離職(特定受給資格者)の場合は退職日以前の1年間に6ヶ月以上)

    これらの条件を満たしていれば、ハローワークで申請できます。失業保険は申請後すぐに受け取れるわけではなく、会社都合での退職の場合は7日、自己都合の退職の場合は3ヶ月後の受給となります。ハローワークでの手続きが完了してからの期間となるため、離職票が届き次第すぐに手続きするのがおすすめです。

    3.年金の手続き(退職後14日以内)

    退職後すぐに次の就職先に入社して厚生年金に加入する場合は、担当者に基礎年金番号やマイナンバーを伝えれば手続きは完了です。また、退職と同時に家族の扶養に入る場合もご自身での手続きは必要ありません。家族の勤務先での手続きをお願いしましょう。

    退職からしばらく転職しない場合は、国民年金への切り替えが必要です。国民年金への切り替えは、退職から2週間以内に居住地の役所で手続きを行います。マイナンバーまたは基礎年金番号が分かる書類と退職日を確認できる書類(離職票や退職証明書)、印鑑を持参しましょう。

    4.健康保険の切り替え(退職後14日以内or20日以内)

    健康保険は退職日の翌日から使えなくなってしまうため、切り替え手続きが必要です。切り替えの選択肢は4つあります。自分がどれに当たるか、どれを選択するのかを確認しておきましょう。

    ①国民健康保険に加入する
    すぐに転職しない場合や個人事業主として開業する場合には、国民健康保険に加入します。退職日の翌日から2週間以内に、居住地の市区町村の役所で手続きを行いましょう。手続きには、退職時に受け取る「健康保険の資格喪失証明書」が必要です。

    ②転職先の健康保険に加入する
    転職先が決まっていれば、入社する会社で健康保険に加入します。ただし、新しい健康保険証が発行されるまでに1~3週間程度かかるので、新しい保険証が届くまでに病院を利用する場合には「健康保険被保険者資格証明書」があると安心です。入社先の人事部などの担当者に問い合わせてみましょう。

    ③任意継続被保険者制度を利用する
    「任意継続被保険者制度」とは、退職後も退職した会社の健康保険に加入し続けられる制度です。「任意継続被保険者制度」を利用する場合は、退職日の次の日から20日以内に健康保険組合への申し出が必要です。

    すぐに転職しない場合、国民健康保険への加入か「任意継続被保険者制度」を利用するか迷う人もいるでしょう。それぞれにメリット・デメリットがありますが「任意継続被保険者制度」を利用するメリットは、在職時と同等の給付を受けることができること。

    ただし、任意継続できるのは最長で2年間と期間が決まっており、収入の減少があっても保険料は下がらないなどのデメリットもあります。ご自身の状況に合わせて選択しましょう。

    ④家族の健康保険(被扶養者)に加入する
    被扶養者となる条件を満たしていれば、家族が加入する健康保険に扶養として加入できます。被扶養者を証明するためには、所得がわかる書類などの準備も必要になりますので、事前に確認しておきましょう。

    5.所得税の手続きをする

    所得税は、前もって一年の総収入を想定した上で金額が仮決定され、月割り額を給与から天引きしています。「年末調整」または「確定申告」をすることで、余分に支払った所得税が還付されます。そのため、退職後は「年末調整」または「確定申告」で所得税の手続きを行う必要があります。どちらで手続きを行うかは、再就職するタイミングによって異なります。

    ■年内に再就職する場合は「年末調整」
    転職先で「年末調整」するには、生命保険等の控除証明書や前職の会社から受け取った源泉徴収票を担当部署に提出します。ただし、医療費控除を利用したい場合には、翌年2月から3月中旬頃に自分で確定申告しなければなりません。

    また、12月入社の場合は、転職先の年末調整の手続きが終わっている可能性もあります。その場合も確定申告が必要になりますので、入社時に担当部署に確認しましょう。

    ■年内に再就職しない場合は「確定申告」
    確定申告は、1年間の所得にかかる税金を自分で計算して申告する手続きのこと。確定申告書を作成し、翌年の2月16日から3月15日の期間に税務署に提出します。その際に前職の会社から受け取った源泉徴収票や各種控除証明書、印鑑が必要になります。

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    退職後の手続きに必要な書類

    退職後の手続きに必要な書類は、会社から受け取る書類と自分で準備しておく証明書などがあります。ここでは、具体的にどういった書類が必要になるのかを紹介します。

    雇用保険被保険者証

    雇用保険被保険者証は、転職先での雇用保険の加入手続きや失業保険の申請に必要になる書類です。雇用保険に加入する際に発行され、会社が保管している場合と自分で保管している場合があります。会社に預けている場合は受け取り、会社から届かないもしくは自分で紛失してしまった場合には、ハローワークで再発行することも可能です。

    離職票

    離職届は雇用保険被保険者証と同じく、失業保険の申請に必要な書類です。離職票は会社を通じてハローワークが作成するため、手元に届くまで2週間ほど時間を要する場合もあります。依頼しなければ発行しない会社もあるので、失業保険の受給を望む場合には、担当部署に依頼しておくと安心です。

    退職証明書

    退職証明書は、会社を退職していることを証明する書類です。国民健康保険や国民年金の手続きのほか、転職先に退職の事実確認する目的で提出を求められることもあります。離職票の代わりとして使われることも多い書類です。

    健康保険資格喪失証明書

    健康保険資格喪失証明書は、国民健康保険への加入手続きに必要です。社会保険の被保険者資格を失ったことを証明するものであり、希望者には後日自宅に郵送されます。依頼から発行までに長期休みを挟んでしまうと、到着までかなりの時間を要するため、注意して担当部署に依頼しましょう。

    年金手帳

    年金手帳は、転職先での厚生年金の加入や、年金の種別変更、国民年金への加入など、各種年金の手続きに必要です。公的年金の加入者に交付されており、基礎年金番号などが記載されています。厚生年金に加入している場合には、会社が保管していますので、退職時に必ず返却してもらいましょう。もし、年金手帳を紛失してしまった場合には、居住地を管轄とする年金事務所で再発行の手続きが可能です。

    源泉徴収票

    源泉徴収票は、転職先の会社での年末調整または確定申告時に必要な書類です。その年に会社が支払った給与、賞与の総支給額をはじめ、社会保険料や所得税などの給与所得の詳細が記載されています。基本的には退職後に郵送されてきますが、もしも紛失してしまった場合には、前職の担当部署に再発行を依頼してください。

    その他自分で用意しておくもの

    退職に伴う各種手続きは、上記で紹介した書類以外に身分証明書やマイナンバーカード、通帳、クレジットカード、印鑑などを用意しておく必要があります。年金手帳を自分で保管している場合には年金手帳の保管場所をあらかじめ確認しておくと安心です。通帳やクレジットカードは年金、国民健康保険の支払いで利用したい人のみ準備してください。

    退職後のお悩みQ&A

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    最後に、退職後によくある悩みをQ&A式に紹介します。

    Q.退職から2週間以上経過すると健康保険に加入できない?

    A.加入できます。ただし、14日以上を経過してから手続きする場合、 その間に負担した医療費は、特別な事情がある場合を除いて全額自己負担となります。多額の負担を発生させないためにも14日以内に国民健康保険加入の手続きを済ませるようにしましょう。

    Q.健康保険への加入は必須なの?

    原則、日本の健康保険制度では、国民皆保険が必須です。国内に住んでいれば年齢、国籍問わず必ず公的医療保険制度への加入が求められます。

    Q.退職後は傷病手当がもらえない?

    A.もらえます。ただし、傷病手当は一定の条件を満たした人のみがもらえる手当であり、申請には医師の証明書も必要になるので、時間と手間がかかることを覚えておきましょう。また、任意継続被保険者は傷病手当金の対象外です。

    Q.退職後すぐに転職しなくてもいい?

    A.心身を休ませるために休息を取ることは大切なので、もちろんすぐに転職しなくても問題ありません。しかし、空白期間が長過ぎると転職活動に悪影響を及ぼす恐れがあります。再就職を希望する場合には、期限を決めて休息を取るのがおすすめです。

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    まとめ

    退職後の手続きにはさまざまな書類の準備が必要で、退職や転職の時期によって異なります。自分にはどのような手続きが求められ、どんな書類が必要なのか全体の流れを把握しておくと良いでしょう。今回の記事を活かして、スムーズな退職後の手続きにお役立てください。

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