生命保険金を受け取る時には税金がかかる?制度を活用するポイントも紹介
- ちょっと得する知識
- 公開日:2026年9月 2日
生命保険金や給付金を受け取る際に、税金がかかるケースとかからないケースがあることを、詳しく理解していない人も多いのではないでしょうか。実際には、契約形態や受取方法によって相続税・所得税・贈与税のいずれかが課税される場合があります。この記事では、生命保険金にかかる税金の種類や計算方法、活用できる税制優遇制度についてわかりやすく解説します。
生命保険金は受け取ると税金がかかる場合がある
生命保険は万が一のときに備えるものというイメージが強く、受け取ったお金に税金はかからないと思っている人も少なくありません。実際には、生命保険金の受け取り方や契約形態によっては、税金がかかるケースがあります。生命保険金にかかる税金は、主に以下の3つです。
- 相続税
- 所得税(+住民税)
- 贈与税
どの税金が課されるかは、保険料を負担する契約者・保険をかけられている人である被保険者・保険金や給付金を受け取る受取人の関係によって異なります。もし、契約者と被保険者が同じで、受取人が遺族の場合は相続税が適用されるのが一般的です。
契約者と受取人が同じで、満期保険金を受け取る場合は所得税の対象となります。また、契約者と受取人が異なる場合は、贈与税がかかるケースもあり、税率が高くなる可能性があります。
一方で、同じ生命保険でも税金がかからないものもあります。制度を正しく理解しておけば「受け取る時に税金がかかるなんて」と慌てずに済むでしょう。
税金がかかる生命保険金の種類
生命保険の中には、受け取る際に税金がかかるものがあります。以下では代表的な4つを解説します。
生命保険の死亡保険金
死亡保険金は、契約内容によって税金の種類が異なります。契約者と被保険者が同じで、遺族が受取人の場合は相続税です。契約者と受取人が同じなら所得税、契約者・被保険者・受取人がすべて別だと原則として贈与税の対象となります。
一般的には、亡くなった人が保険料を支払っていた場合、受取人が受け取る死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象です。ただし、相続税の計算には基礎控除枠が設けられているため、受け取った保険金すべてに課税されるわけではありません。
生命保険のお祝い金や満期保険金
満期保険金やお祝い金は、所得税(+住民税)の対象になります。例えば、自分で保険料を支払って、自分が満期金を受け取る場合は「一時所得」として課税されます。一時所得には、最大50万円までの特別控除があるため、一定額までは課税されません。
もし、契約者が夫で受取人が妻の場合は所得税ではなく、贈与税の対象として計算されます。贈与税は受け取った金額から、基礎控除の最高110万円を差し引いた残りの金額が対象となるので、所得税として計算するよりも税額が高くなる可能性があります。
個人年金保険の年金
個人年金保険で年金を受け取った時も、課税の対象です。個人年金保険の場合も、契約者と受取人との関係などによって、発生する税金は以下のように変わります。
- 契約者と受取人が同じかつ、存命している:所得税
- 契約者と受取人が異なり、それぞれ存命している:贈与税
- 契約者と受取人が同一だったが死亡したため、受給権を別の人に変更した:相続税
- 受取人が死亡し、年金受給権を契約者被保険者および受取人とは別の人物に変更した:贈与税
基本的に、契約者と受取人が同じで存命であれば所得税の対象として、他の収入と一緒に計算を行います。しかし、受取人が異なっていたり、契約者や受取人が死亡していたりした場合は、贈与税や相続税などに変わるため、事前に確認が必要です。
解約返戻金
生命保険を途中で解約した際に受け取る解約返戻金も、課税対象となる場合があります。基本的には、支払った保険料よりも多く受け取った部分が一時所得として課税されます。
例えば、保険料の払込総額が500万円で、返戻率が115%、解約返戻金が575万円だった場合、解約返戻金が払い込んだ保険料よりも75万円上回ります。
解約返戻金の課税計算については、満期保険金と同様に、50万円の特別控除が適用されるため、利益が少ない場合は課税されないケースもあるでしょう。また、短期間で解約した場合などは元本割れも多く、その場合は課税対象にはなりません。
税金がかからない生命保険金の種類
生命保険金には税金がかかるものもありますが、一方で非課税になるものもあります。どのようなものが非課税となるのか、以下では4つの保険金についてご紹介します。
高度障害保険金
高度障害状態になった際に支払われる保険金は、基本的に非課税です。高度障害保険金は、被保険者が責任開始期以降に、病気や怪我などで障害を負ったときに支給されるお金です。
対象となるのは、両眼の視力を全く永久に失ったり、言語や咀嚼の機能を全く永久に失ったりした場合です。保険金の支給には、身体的な損失に対する補償という性質があるためで、税法上も所得として扱われません。
リビング・ニーズ特約で受け取れる生前給付金
リビング・ニーズ特約を利用して、被保険者が存命中に受け取った保険金は非課税です。リビング・ニーズ特約とは、被保険者が一般的には余命6か月以内と判断された場合、死亡保険金の全額または一部を前持って受け取れる特約です。
死亡保険金の前払いという位置付けですが、医療や生活費の支援という目的があるとして、税金は課されません。しかし、受け取ったお金を使い切る前に被保険者が亡くなった場合は、残金は相続財産の一部とみなされ、相続税が発生します。受け取った後の状況によっては、税金が発生する点は理解しておいてください。
医療保険の給付金
入院給付金や手術給付金などは、原則として非課税です。具体的には、以下のようなお金が対象となります。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
入院給付金は、病気や怪我で入院した際に見舞金などの一時金として支給されます。治療のための入院と認められる必要があるので、美容整形や健康診断での入院費用は給付対象ではありません。
手術給付金は、病気や怪我で手術をした際に給付されます。対象となるのは手術の時だけのため、入院していても手術を受けていなければ、給付の対象外となります。
通院給付金は、病気や怪我で入院して退院した後に、継続して通院での治療が必要と判断された時に支給されるお金です。いずれかの給付金が盛り込まれている保険であれば、支給対象となる時に非課税でお金を受け取れます。
介護保険などの一時金や年金
医療保険の給付金と同じように、介護状態になった際に受け取る一時金や年金も、多くの場合は非課税です。対象となるのは、以下のような給付金です。
- 介護保険金
- がん診断一時金
- がん給付金
- 先進医療給付金
- 就業不能給付金
- 先進医療給付金
- 特定損傷給付金
医療保険や介護保険などの給付金は、病気やけがによる治療や生活支援を目的としているため、原則として課税対象にはなりません。
税金の計算方法
生命保険金の税金計算は、課税区分ごとに異なります。それぞれの計算方法について、ご紹介します。
相続税の場合
相続税の場合は、非課税枠と基礎控除があります。生命保険金を受け取った場合、相続税の非課税金額は500万円×法定相続人の人数、基礎控除は3,000万円+(600万円×法定相続人)で計算をします。
例えば、妻と子どもの2人が死亡保険金を相続する場合は、500万円×2人=1,000万円の非課税枠と、3,000万円+(600×2人)=4,200万円の基礎控除を利用可能です。死亡保険金が2,000万円だった場合、課税対象となるのは1,000万円です。残りの相続財産が3,200万円までであれば、相続税は発生しない計算です。
所得税(一時所得)の場合
生命保険金を受け取った場合、所得は一時所得に分類されます。一時所得の金額は、課税対象額=(受取額−払込保険料−50万円)÷2で計算します。満期保険金を200万円受け取った場合について、以下のような計算を行います。
- 満期保険金:200万円
- 払込保険料:120万円
(200万円-120万円-50万円)÷2=15万円で、課税対象額は15万円です。
贈与税の場合
贈与税には、年間110万円の基礎控除が設けられています。保険金を受け取った場合、保険金額から110万円を差し引いた額が課税対象です。例えば、死亡保険金が1,000万円なら、1,000-110万円=890万円が贈与額の課税対象額になります。
ただし、死亡保険金以外にも贈与があった場合は、すべての贈与を含めた金額から110万円を差し引きます。基礎控除額を差し引いたあとは、課税金額に対して所定の税率と控除を行って、税額を決定します。税率と控除額は以下の通りです。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
| 200万円以下 | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
もし、課税対象額が890万円だった場合は、890万円×40%-125万円=231万円が税額です。
保険金の受け取りで活用できる税制優遇制度
生命保険金を受け取る際に、税負担を軽減できる制度がいくつかあります。今回は、知っておきたい3つの制度をご紹介いたします。
相続税の非課税枠
相続税には非課税枠が設けられており、法定相続人によって金額が変動します。基本の計算式は以下の通りです。
- 500万円 × 法定相続人の数
例えば、法定相続人が1人なら500万円が非課税となりますが、法定相続人が3人なら1,500万円までが非課税になります。
死亡保険金3,000万円を受け取った場合、妻と子ども2人が相続するなら、まず1,500万円分が非課税となり、残りの1,500万円について計算を行います。この法定相続人については、実際に遺産を相続しない人や相続放棄をした人も加えて計算を行います。
相続税の基礎控除
相続税には基礎控除があり、以下の計算式で求められます。
- 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
基礎控除は遺産の種類に関係なく差し引かれる金額です。法定相続人が3人であれば、3,000万円+(600万円×3人)で4,800万円までが控除されます。死亡保険金が4,500万円だった場合、死亡保険金以外の財産がなければ基礎控除の4,800万円以内に収まるため、相続税は発生しません。
ただし、死亡保険金以外の相続がある場合は、すべてを含めた金額から差し引きをするため、状況に応じては相続税の支払いが必要になります。
配偶者の相続税の軽減制度
配偶者が相続する場合は、配偶者用の優遇措置を利用できます。配偶者は、1億6,000万円まで、または法定相続分相当額の、どちらか高いほうまでの相続税が非課税です。
配偶者と子どもがいる場合、いずれも法定相続人に該当しますが、子どもを死亡保険金の受取人に指定し、配偶者は軽減制度を利用すると、税額を抑えられる可能性があります。
生命保険金の受取時は確定申告が必要になる場合がある
生命保険金の受け取りでは、確定申告が必要になるケースがあります。一時所得や雑所得として受け取った場合は、毎年2月16日〜3月15日に確定申告を行いましょう。また、贈与税や相続税の対象となる場合は、それぞれ所定の申告手続きを行う必要があります。
特に満期保険金や個人年金は、申告漏れが多いポイントになりがちです。会社員であっても、源泉徴収されない所得がある場合は確定申告が必要になるため、受け取りが発生した際は対象となっていないか、必ず確認しておいてください。
まとめ
生命保険金には、相続税・所得税(住民税)・贈与税のいずれかが課税される場合があります。どの税金が適用されるかは、契約者・被保険者・受取人の関係によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
一方で、高度障害保険金や医療保険の給付金、リビング・ニーズ特約による生前給付金など、原則として非課税となるものもあります。また、死亡保険金には相続税の非課税枠が設けられており、活用することで税負担を軽減できる可能性があります。
保険金を受け取る際は、税金の種類や申告の要否を確認し、不明な場合は税理士や保険会社へ相談すると安心です。