主婦年金(第3号被保険者制度)の廃止・縮小は本当?議論状況や今後の見通し、専業主婦への影響も紹介

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社会保障制度の見直し議論の中で注目を集めている第3号被保険者制度。今回は、第3号被保険者制度の仕組みや縮小が検討されている背景のほか、今後の見通しなどをご紹介します。また、見直しが行われた場合の影響や、現時点で押さえておきたいポイントも解説。第3号被保険者制度に加入している人、今後加入する可能性がある人は、ぜひ最後までお読みください。

主婦年金(第3号被保険者制度)とは

主婦年金とも呼ばれている第3号被保険者制度とは、日本の公的年金制度の1つです。国民年金の制度は、3つの区分に分けられています。

- 第1号被保険者:自営業者・フリーランス・学生など
- 第2号被保険者:会社員・公務員
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者

第1号被保険者は国民年金保険、第2号被保険者は国民年金保険と厚生年金保険に加入をします。第3号被保険者は、自分で保険料を支払わなくても国民年金に加入している扱いになります。

元々、年金制度が発足した当時は、夫名義の年金で夫婦2人が生活をするような設計になっていました。妻側は任意加入となっていたため、加入していない場合は、離婚した際に自分名義の年金が受け取れないなどの問題がありました。

そのため、専業主婦でも将来年金が受け取れるようにと、会社員の妻で専業主婦の場合は第3号被保険者として国民年金の適用を強制とし、現在の形となっています。しかし、現在は共働き世帯が増えており、第3号被保険者制度が時代に合わなくなってきているため、見直しが検討され始めています。

主婦年金の縮小が検討されている理由

主婦年金と呼ばれる第3号被保険者制度の縮小が検討されているのには、いくつかの理由があります。主な理由を3つ、解説します。

①公平性

現在の公的年金制度では、公平性に問題があると指摘されています。自分で保険料を納めている人と、納めていない人が同じ基礎年金を受け取れる仕組みは、以前から疑問視されていました。

また、第3号被保険者制度に加入できるのは、第2号被保険者の配偶者のみです。第1号被保険者の加入者の配偶者の場合は、第3号被保険者制度に加入できません。

制度上では扶養されている配偶者に対して正当な仕組みですが、加入者からすると不公平感が強く出ることから、見直しが検討されています。

②106万円の壁

第3号被保険者制度に加入したまま働き続ける場合、社会保険料の負担が発生する年収106万円を超えないように調整をしている人が多くいます。パートやアルバイトで働く人の多くは「106万円の壁」を意識しているため、思うように稼げないと感じている人もいます。

また、年収の壁を意識して働き控える人が増えると、その分労働力の不足にもつながります。十分な収入を得ること、労働力不足を解消させるという点でも、第3号被保険者制度の見直しが検討されている理由の1つです。

➂社会構造の変化

第3号被保険者制度が始まったのは1986年4月で、専業主婦が多くいた時代でした。しかし、設立から40年が経過し、社会構造は大きく変化しています。専業主婦は減少し、現在は共働き世帯が専業主婦世帯を大きく上回る状況となっています。

単身世帯も増加しており、専業主婦を前提とした第3号被保険者制度は、時代に合わなくなってきています。女性の社会進出を阻害する要因になっているとも指摘されており、見直しが検討されています。

主婦年金に関する議論状況や今後の見通し

主婦年金に関する議論状況や、今後の見通しなどについても解説します。現時点では可能性がある程度で、どのように変更されていくのかは、今後決まっていく予定です。

廃止が決まったわけではない

2026年7月時点では、第3号被保険者制度についての議論が行われている段階であり、廃止が決定したわけではありません。また、具体的な変更内容も決まっておらず、あくまでも検討されている段階です。

詳細な内容については、これから決まっていくため、変更や廃止が決まってもすぐに無くなるというわけではありません。

廃止となっても年金が0にはならない

もし第3号被保険者制度の廃止が決まった場合、これまで加入していた人の年金が0円になるわけではありません。納めた分の年金については、受給時期を迎えれば支給されるでしょう。

厚生年金や国民年金保険に加入する必要性

今後、第3号被保険者制度が廃止となった場合、専業主婦であっても年金保険料の負担が発生するでしょう。将来の年金がなくなるわけではありませんが、これまでとは違う形で保険料の負担が発生します。

専業主婦を続ける場合は、第1号被保険者となって、自分で保険料を支払う必要があります。もし、パート・アルバイトなどで働く場合は、厚生年金に加入し、会社と折半しながら保険料を支払う形になっていきます。

SNSでは「専業主婦の年金が0になる」という声もありますが、廃止されても将来の年金が無くなるわけではなく、今とは違う形で年金を用意する仕組みに変わっていく可能性があります。

主婦年金の見直しによる影響

主婦年金が見直しをされた場合、どのような影響があるのか、プラス面とマイナス面の両方を紹介します。自分の生活がどのように変化していくのか、想像がつかないという人は、ぜひ以下をご確認ください。

社会進出の促進

年収106万円の壁など、働き控えの原因となる年収の壁が撤廃されれば、これまで以上に自由度の高い働き方が可能になります。パートをしながら今までより高い年収を狙うことも、今まで通り家庭を重視した働き方も、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に対応可能です。

そのため、これまでは扶養を超えないようにと悩みながら働いていた人たちが、より働きやすい環境へと変わっていきます。結果として、女性の社会進出が促進される効果が期待できるでしょう。

人手不足の解消

第3号被保険者として働いている人の多くは、106万円の壁を超えないようにと、働き控えしています。そのため、職場では従業員数はいるが、時期などによっては十分な労働人員が確保されていないケースもあります。

しかし、第3号被保険者制度が廃止されれば、働き控えをする必要がありません。必要な時に必要な人員を確保しやすくなるため、企業にとっても、第3号被保険者制度の見直しはメリットとなります。

非正規雇用の賃金上昇

106万円の壁がなくなることで、パートやアルバイトでも年収を気にせず、家計に必要な分だけ働けるようになります。就労時間や機会が増加すると、その分獲得できる賃金が上昇し、世帯年収もアップしていきます。

さらに、企業側が人員確保のために、賃金をアップする動きも出てくるでしょう。これまでのように年収の壁を気にせずに、年収を上げていけるのはメリットの1つです。

低年金者の減少

特に第3号被保険者の加入者の場合、年金の受給額は第2号被保険者や男性と比較すると低い傾向にあります。実際に専業主婦の国民年金保険での平均受給額は、月額約5万5,000〜6万円です。厚生年金に加入している男性は、月額平均が約16〜18万円であることから、第3号被保険者は年金額が低いとわかります。

もし、第3号被保険者制度が変更されて、厚生年金に加入をすると、将来受け取れる年金の額が増えていきます。働き方によっては、大幅に将来の年金額を増やせる可能性もあるでしょう。厚生年金保険への加入で、老後の資金が増やせるようになるため、将来への安心にもつながります。

家計負担が増える

第3号被保険者制度は、自分で保険料の支払いをしなくても、国民年金保険が受け取れるというのが特徴です。しかし、制度が改正されると、専業主婦も自分で保険料を負担する必要が出てきます。

2026年の国民年金保険料は、月額1万7,920円です。突然、毎月1万円以上の支払いが発生するのは、大きな負担となります。特に、低所得世帯にとっては、負担が大きくなると考えられます。

少子化加速の懸念

女性の社会進出が進むと、世帯年収の増加や労働人員の確保などが期待できます。一方で、仕事と家事・育児の両立が難しくなり、子どもを育てるのが難しくなる可能性が出てきます。

女性の社会進出に伴い、子育てや保育環境に関する支援が整わないと、子どもを持つのは難しいと判断する人も出てくるでしょう。少子化が加速する可能性があるのは、第3号被保険者制度の見直しで考慮されている懸念点の1つです。

主婦年金の縮小・廃止に対する当事者の反応

主婦年金の縮小や廃止が検討されていますが、当事者となる専業主婦はどのように感じているのか、その反応についてもご紹介いたします。2026年に「しゅふJOB総研」が実施したアンケートでは、第3号被保険者制度について、以下のような回答がありました。

- 縮小も廃止もしない方がいい:52.8%
- 縮小した方がいい:10.7%
- 廃止した方がいい:8.0%
- 拡大した方がいい:4.3%
- わからない:24.2%

回答者の半数以上が、現在の制度から変更しない方向を望んでいます。

回答者からは「思うように働けない人もいるなかで、縮小や廃止は厳しい」「第3号被保険者制度があるから、安心して子育てできる」という声もある一方で、「会社員の妻だけが受けられるのは不公平」「徐々に制度を変えていくのがいいと思う」などの意見も出ています。

現時点で押さえておきたいポイント

現時点では、第3号被保険者制度がどうなっていくのかは決まっていません。それでも、将来的に変化が起きる可能性が高いため、できるだけの対策を取っておくと、いざという時も安心です。以下では、現時点でできること、押さえておきたいことを3つご紹介いたします。

現時点で受け取れる年金額を調べる

ねんきん定期便やねんきんネットなどで、現在の加入条件から将来受け取れる年金額を把握してみてください。どの程度受け取れるのかが分かれば、不足するであろう金額も分かってきます。

受給予定の年齢を仮定すれば、毎月どの程度貯めれば不足金を補えるのかも計算できるようになります。まずは、将来どの程度受け取れるのか、そこから不足している金額についても計算してみてください。

厚生年金保険への加入を検討する

将来的に第3号被保険者制度が縮小や廃止された時に備えて、厚生年金の加入を検討してみてください。パートやアルバイトでも、以下の条件を満たしていれば厚生年金への加入が可能です。

- 週の所定労働時間20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 企業規模が51人以上
- 学生ではない

今後、適用要件の見直しが進められる可能性があります。厚生年金へ加入すれば、将来の年金受給額も増加します。老後資金や将来的な加入要件の拡大を含め、厚生年金への加入を検討してみてください。

年金以外の資金源を用意する

公的年金制度以外に、老後の資金源の確保も重要になります。iDeCoや個人年金保険などの私的年金制度のほか、貯蓄やNISAなどの投資の組み合わせによって、資金の確保が可能になります。

現在のライフスタイルはもちろん、将来必要になる生活費や希望する暮らし方などから、自分に合った方法を考慮してみてください。

まとめ

第3号被保険者制度の変更や廃止などについてご紹介しました。2026年7月時点では、具体的な変更案などは出ておらず、可能性の話のみとなっています。

しかし、制度ができた時とは社会構造が異なり、時代の変化に合わせた見直しの必要性が指摘されているため、今後の社会情勢や制度改革の議論によっては、何らかの見直しが行われる可能性があります。

第3号被保険者制度が見直されたとしても、過去に第3号被保険者だった期間が無効になるわけではありません。すでに年金受給資格として反映された期間まで失われるわけではないため、過度に心配する必要はないでしょう。

ただし、変更されることが決まった時に慌てないためにも、見直しによる影響や今からできることなどを確認し、将来の資金問題への対応策を検討してみてください。

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