【2025年最新】最低賃金はいくら上がる?都道府県別の改定金額や適応時期、注意点などをご紹介

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毎年10月以降に見直しが行われる最低賃金は、パートやアルバイトで働く人にとっては、特に大きな関心の1つです。2025年も見直しが行われ、過去最大の上げ幅を記録しました。今回は2025年の引き上げ状況から、適用時期・対象・引き上げの背景などから、今後働くうえで考えておきたいポイントなどを解説します。特にパートやアルバイトで働いている方は、ぜひ最後までお読みください。

2025年の最低賃金引き上げ状況

2025年10月に発表された、最低賃金の引き上げ状況についてご紹介いたします。

都道府県名 改定後最低賃金額 改定前最低賃金 引き上げ額 適用日
北海道 1,075 1,010 65 2025年10月4日
青森 1,029 953 76 2025年11月21日
岩手 1,031 952 79 2025年12月1日
宮城 1,038 973 65 2025年10月4日
秋田 1,031 951 80 2026年3月31日
山形 1,032 955 77 2025年12月23日
福島 1,033 955 78 2026年1月1日
茨城 1,074 1,005 69 2025年10月12日
栃木 1,068 1,004 64 2025年10月1日
群馬 1,063 985 78 2026年3月1日
埼玉 1,141 1,078 63 2025年11月1日
千葉 1,140 1,076 64 2025年10月3日
東京 1,226 1,163 63 2025年10月3日
神奈川 1,225 1,162 63 2025年10月4日
新潟 1,050 985 65 2025年10月2日
富山 1,062 998 64 2025年10月12日
石川 1,054 984 70 2025年10月8日
福井 1,053 984 69 2025年10月8日
山梨 1,052 988 64 2025年12月1日
長野 1,061 998 63 2025年10月3日
岐阜 1,065 1,001 64 2025年10月18日
静岡 1,097 1,034 63 2025年11月1日
愛知 1,140 1,077 63 2025年10月18日
三重 1,087 1,023 64 2025年11月21日
滋賀 1,080 1,017 63 2025年10月5日
京都 1,112 1,058 64 2025年11月21日
大阪 1,117 1,114 63 2025年10月16日
兵庫 1,116 1,052 64 2025年10月4日
奈良 1,051 986 65 2025年11月16日
和歌山 1,045 980 65 2025年11月1日
鳥取 1,030 957 73 2025年10月4日
島根 1,033 962 71 2025年11月17日
岡山 1,047 982 65 2025年12月1日
広島 1,085 1,020 65 2025年11月1日
山口 1,043 979 64 2025年10月16日
徳島 1,046 980 66 2026年1月1日
香川 1,036 970 66 2025年10月18日
愛媛 1,033 956 77 2025年12月1日
高知 1,023 952 71 2025年12月1日
福岡 1,057 992 65 2025年11月16日
佐賀 1,030 956 74 2025年11月21日
長崎 1,031 953 78 2025年12月1日
熊本 1,034 952 82 2026年1月1日
大分 1,035 954 81 2026年1月1日
宮崎 1,023 952 71 2025年11月16日
鹿児島 1,026 953 73 2025年11月1日
沖縄 1,023 952 71 2025年12月1日
全国加重平均 1,121 1,055 66 -

参照元:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金の全国一覧」

今回の賃上げは、1978年の目安制度開始以来最高を記録しました。初めて、全都道府県で時給1,000円以上となっています。

引き上げ額は60〜80円で、上げ幅が50円台だった去年と比較すると大幅に上昇する結果になりました。地域格差是正のために、39の道府県では目安を上回る引き上げが実施されています。

最低賃金の適用日は都道府県によって異なる

最低賃金は例年10月1日以降、翌年の3月31日までに適用されます。地域によって差がありますが、ほとんどは10月〜年内中を目処にしています。

すぐに変更されるわけではないので、詳細な日付を確認して、現在の金額がいつまで続くのかを確認しておきましょう。都道府県別の適用日は、上記の表の通りです。

最低賃金の対象となるのはすべての労働者

最低賃金の対象となる人は職種に関係なく、その地域で働くすべての労働者です。パート・アルバイトだけではなく、正社員や契約社員なども対象です。また、月給制・日給制・出来高払い制など給与形態による違いもなく、すべての形態で適用されます。

ただし、一般の労働者よりも著しく労働力が低いなど、以下の条件に該当する場合は、最低賃金減額の特例の適用が認められています。

• 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
• 試の使用期間中の方
• 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
• 軽易な業務に従事する方
• 断続的労働に従事する方

引用元:厚生労働省「最低賃金の適用される労働者の範囲」

対象の範囲は、基本給と諸手当に該当する部分になりますが、諸手当のうち通勤手当・家族手当・精皆勤手当は最低賃金の対象にはなりません。そのほか、以下のような賃金も最低賃金の対象外です。

• 結婚手当などの臨時の支給金
• 賞与
• 時間外労働割増賃金
• 休日割増賃金
• 深夜割増賃金

地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の違い

最低賃金には、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2つがあります。

地域別最低賃金
地域別最低賃金は、都道府県内で働くすべての労働者・使用者に対して適用されるもので、職種や雇用形態は関係ありません。

特定(産業別)最低賃金
特定(産業別)最低賃金は、特定の産業にのみ設定されている最低賃金で、その産業で働く人に対して地域別最低賃金よりも高く設定されています。地域によって適用される業種は異なります。

地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金では、より高い方が適用されます。もし、自分の職種が特定(産業別)最低賃金に該当する場合は、正しい金額が適用されているか確認してみてください。

最低賃金が引き上げられる背景

最低賃金が引き上げられるのは、どのような背景があるのでしょうか。最低賃金が引き上げの背景を解説します。

物価高

2022年以降、日本では物価高が続いており、家計に大きな影響を与えています。世界的にも原油高や円安が進み、実質的な賃金の押し下げが続いている状態です。収入を増やして、物価高による影響を減らすために、最低賃金の引き上げが行われています。

消費活動の促進

物価高の影響により家計が圧迫され、これまでのように余暇を楽しむなどの余裕がなくなった家庭は増加しています。しかし、消費活動が落ち込むと日本全体の経済が停滞し、より悪い状況へと陥ってしまいます。経済を少しでも循環させて、好転させていくためにも、最低賃金の引き上げなどが行われています。

人材不足

現在、日本では少子高齢化による労働人口の減少が深刻化しており、慢性的な人材不足の状態です。労働者側が仕事を選びやすい売り手市場が続いている中で、企業は少しでもよい人を確保するために、賃上げなどを行っています。

特に非正規での雇用が多い女性や高齢者の雇用を進めて、労働力を確保するために最低賃金の見直しが行われています。

最低賃金引き上げのメリット・デメリット

最低賃金の引き上げは労働者側・企業側、どちらにとってもメリット・デメリットが存在します。どのような効果があるのか、それぞれの視点からご紹介いたします。

労働者側のメリット

労働者側のメリットとしては、最低賃金の引き上げで収入が増えることです。収入が増えればその分家計に余裕が出るので、貯蓄や買い物などがしやすくなるでしょう。特に最低賃金と同額か近しい金額で働いている人にとっては、大きなモチベーションアップにもつながります。

また、最低賃金の引き上げによって、働き方の選択肢が増える可能性があります。最低賃金が上がれば、短時間でもまとまった金額を稼げるようになります。そのため、介護や子育てと両立しながら、スキマ時間で働くという選択肢を取りやすくなるのが、労働者側のメリットです。

労働者側のデメリット

最低賃金が上がると扶養の範囲内で働きにくくなり、労働時間が減る可能性は高まります。労働時間が減ると思ったような収入を得られなくなるため、最低賃金の引き上げによる恩恵を感じにくくなるでしょう。

また、より待遇の良い職場は人気が高まるため、働くためには高度なスキルを求められるなど、競争が激しくなるケースも出てきます。

企業側のメリット

最低賃金の引き上げは、働く人のモチベーションアップにつながるため、より長い時間働きたいという人が増えるというメリットがあります。人材不足のなか、働き手を確保しやすくなるのは嬉しいポイントです。

企業側デメリット

勤続年数の長い人や正社員のモチベーションが下がる危険性や、人件費の増加といったデメリットも存在します。職務内容などに関係なく賃金が同じになることで、働く人のモチベーションが低下し、最悪の場合は離職につながる可能性もあるでしょう。

中小企業では人件費の増加で、業績が下がるケースもあります。また、求職者側の要望に対応しきれず、採用がうまくいかなくなる場合も考えられます。最低賃金の引き上げは企業側にとって給与の変更だけではなく、福利厚生などの体制全体の見直しなど経営課題発見のきっかけとなるでしょう。

最低賃金の引き上げで考えたいポイント

最低賃金の引き上げが行われた後で、考えておきたいポイントを3つご紹介いたします。特にパート・アルバイトで働いている人は、ぜひチェックしてみてください。

労働時間

最低賃金が引き上げられた後は、労働時間をどうするのかを決めておきましょう。扶養内で働いている場合、これまでと同じ労働時間では扶養の範囲を超える可能性が高まります。

また、働ける時間が減ることで、現在の職場では条件が合わないとして働きにくくなるケースも考えられます。扶養の範囲内で今後も働いていくのか、家族や職場と相談をして、これからの方針を決めていくと良いでしょう。

スキルアップ

企業によっては最低賃金の引き上げによる人件費の増加で、よりスキルの高い人材を求めるようになっていくでしょう。これまでは採用されていた人でも、スキルや経験が足りないことを理由に採用を断られるケースが増加していく可能性あります。

少しでも良い条件で働き続けるには、パート・アルバイトなどの雇用形態に関係なくスキルアップが必須です。役立つ資格があれば取得をしたり、積極的に情報収集をしたりといった姿勢が、今後求められていくでしょう。

待遇面の確認

新しい職を探す際だけでなく、現在の仕事を継続する場合でも、時給以外の待遇面を同時に確認しましょう。例えば、交通費支給や社会保険加入など、企業によって福利厚生は異なります。

パートでも休みが取りやすい環境や制度があれば、子どもや介護による急な休みがあっても、仕事を続けやすくなります。賃金の確認は大切ですが、自分に合った働き方ができるのか、待遇面も確認しながら仕事探しをしてみてください。

まとめ

2025年の最低賃金引き上げと、適用期間や対象範囲などについてご紹介しました。2025年は1978年の目安制度開始以来最高を記録し、すべての県で最低賃金1,000円超えとなっています。引き上げの背景としては、物価高や人材不足などの問題が考えられます。

最低賃金の引き上げ後は、収入増加や働き方の選択肢が増えるなどのメリットがある一方で、採用までの競争が厳しくなるなどのデメリットが出てきます。まずは、労働時間・スキルアップ・待遇面などの確認や、家族・勤務先と相談し、ベストな働き方を探してみましょう。

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