50代男性の転職理由と業種・職種へのこだわり具合は?転職先の業種や職種に、企業規模から年収変化までをご紹介
- 自分の相場を知る
- 公開日:2020年5月21日
転職率は年々増加傾向にあると報道されていますが、中高年層が知りたいのは自身の年代・性別における転職者の傾向ではないでしょうか。マイナビが発表した転職動向調査より50代男性にフォーカスし、転職における活動傾向や、転職後の意識・環境の変化について解説いたします。
正社員転職率は増加傾向
すべての年代・性別において正社員への転職率は年々上昇していますが、特に2019年では伸び率が高まっています。
50代男性の転職率自体は少ないものの、4年前の調査と比較すると2倍以上に増えているから、年齢を問わずに転職という選択肢が一般的なものになっていることが見えてきます。
転職活動を始めた理由
転職活動を始めた理由について、転職者全体では「仕事内容への不満」「給与が低さ」「職場の人間環境の悪さ」という理由が高い回答を集めています。
50代男性の特徴としては、「仕事内容への不満」「業績評価への不満」が高い一方、「倒産やリストラ」を理由とした転職も目立ちます。
自分の価値・スキルを高めるための転職思考も一定数存在しますが、リストラなどの非自発的理由が高いこともこの年代の特徴といえるでしょう。
転職活動の進め方はどのような特徴がある?
利用しているサービス
転職サイトの認知率は高いものの、やはり「転職といえばハローワーク」という意識が高く、Webを中心とした転職サービスの把握率も高くありません。
情報収集から応募まで転職サイトとハローワークで行う方が多いですが、人材紹介会社を利用する割合も一定数存在しています。
閲覧数、応募数、面接数、内定数
求人閲覧数は転職者全体(35. 6求人)よりも大幅に多く平均48.2求人を閲覧。応募数も平均9.5応募と転職者全体(7.9応募)よりも多く、面接は平均2.9回経験。最終的な内定は一人1.5社を獲得しています。
転職活動当初は、自分の市場価値を高く見積もって高条件の求人を閲覧・応募をしていくが、活動を継続していくうちに現実を知り、妥協点を見出していくという流れが50代男性の特徴です。こだわりを捨てたうえで、中高年採用意欲の高い企業に接点が持てれば内定獲得は可能です。
転職活動の期間
転職活動を開始してから転職先の会社に応募するまでかかった期間は2ヶ月未満なのは約半数、スムーズに転職先を決めている層も多く存在します。しかし、10.4%が1年以上となっていることから、希望条件にこだわりすぎる等の場合は転職が長期化する危険性もあります。
転職活動前後における意識の変化
転職後の変化(ポジティブ要因)
「仕事に取り組みやすくなった」ことや「労働時間が減った」ことをポジティブに捉えており、仕事軸に関する項目も比較的高めです。「仕事の量が少なくなった」「簡単になった」という回答も多いことから、仕事の質や量をセーブし、身体的にも精神的にも負荷の少ない転職先を選んだ傾向が高いことが見られます。
「年収が上がった」という回答が少ないことは、転職軸において年収の重要度を下げ、他の項目を優先した結果でしょう。
異業種、異職種への転換率
業種の変化について
「IT・通信・インターネット」「機械・電気・電子」業界の出入りについては、エンジニアや技能工等スキルを持った職種での同業種内転職は、この年代でも一定数あることの証拠です。
転職者全体(48.2%)に比べ、50代男性の異業種への転職率は40.3%と全属性の中で最も低いものですが、「医療・福祉・介護」「運輸・交通・物流・倉庫」への流入が多いことは、異業種転職の受け皿となっていることが見て取れ、最も離職率の高い「サービス」業界も、受け入れも多いことが見て取れます。
マンション管理などを含む「不動産・建設・設備」業界の受け入れ数が増えていることも一つの特徴といえるでしょう。
職種の変化について
異職種への転職率は転職者全体(38.0%)よりも大幅に低い25.7%。これまでの職種に強くこだわりを持つ転職者が多いことが特徴的です。
「営業」「管理・事務」職で転職が多いことは40代男性と同傾向。また、「管理・事務職」は、営業職や企画・経営職からの転職先となっています。
受け入れが増加しているのは「技能工・設備・配送・農林水産」と「医療・福祉」。これらの職種は未経験採用が積極的であることから、異職種からの受け皿となっています。
企業規模や年収はどのように変化?
企業規模の変化
特徴は二つ。100名以下の企業に在籍していた人たちが半数を占めること。そして、5001名以上の大企業に在籍していた人たちが14.6%と多いこと。後者については、リストラや早期退職への応募者が一定数含まれています。
転職先としては「11名~50名以下」の企業へ転職した割合が最も高い結果に。企業規模が前職よりも小さな会社へ移る人が多いのがこの年代の傾向です。
年収の変化
年収変化について見ていくと、年収帯は前職・現職ともに「300~349万」が最多。経年比較を見ると、2019年の転職者全体で年収が上がったのは33.7%、年収が下がったのは25.8%。
2016、2017年に比べると転職によって年収が上がった割合は低下傾向にあるのは、年収を上げることが目的の転職から、働き方を変えるための転職という観点が強くなってきていることが考えられるでしょう。
50代男性の年収変化を見ていくと、上がった割合が25.0%(全体では33.7%)、下がった割合が31.9%(全体では25.8%)であることから、転職で年収が下がった人が多いという結果になっています。
これは元々高い年収を得ていた人たちが転職したということも影響していますが、年収以外の観点から転身先を検討したことの現れでしょう。
転職することを、50代男性はどのように捉えている?
最後に転職に関する考え方を見ていきましょう。
「転職は簡単にできる」という設問に対して、そう思うと答えた割合は30.6%、思わないと答えた割合は46.5%。多くの人が、転職は簡単なものではなかったと結論付けています。
しかし、「転職は前向きな行動である」「転職は必要である」という設問に対しては、多くの人がそう思うと答えている結果から、転職は大変なものではあるが自分の人生を自律的に気づいていくために必要なものであると捉えていることがわかります。
まとめ
転職をするかしないかは、結局のところ自分次第。自分の所属する環境がどう変化していくかを見定めたうえで、どんな人生を歩んでいきたいかのイメージを描くことが重要です。
コロナショックによりこれまで以上に何が起こるか見通せない時代となりましたが、転職を成功させる秘訣は、検討は慎重に。しかし、決断したら迅速に行動することです。常に前向きな気持ちを持ち続けていきましょう。
【調査概要】『マイナビ 転職動向調査2020年版』
調査期間:2020年2月21日(金)~2月25日(火)
調査方法:インターネット調査
調査対象:正社員として働いている20代~50代の男女のうち、2019年に転職した方
有効回答数:1,500名(男性20代277名、男性30代286名、男性40代210名、男性50代144名、女性20代239名、女性30代139名、女性40代126名、女性50代79名)
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