履歴書送付の添え状(添付状)マナーと季語を含めた挨拶文例〈テンプレートつき〉
- 転職・退職ノウハウ
- 公開日:2020年3月10日
求人への応募後は履歴書や職務経歴書の送付など、郵送でのやり取りをする機会もあります。ビジネスマナーが備わっている人物であることを印象づけるべく、添え状(送付状)を作成してみるのはいかがでしょうか。基本的な書き方マナーと挨拶文の具体例をご紹介します。
添え状(送付状)とは
本来、添え状とは、対面で行う挨拶代わりの役割を果たすツール。自分や使いの者が届ける時に一言添えとして、文書に気持ちを託したものです。
それがビジネスの中でも習慣化され、開封してすぐ送付先や送付物を確認できるようにすることで、認識違いを防ぐメリットを生むようになりました。
基本の形は決まっているので、時間がかかるものではありません。良識ある大人としての振る舞いができることをアピールする材料にもなるため、ぜひ活用してみましょう。
添え状(添付状)の構成要素は9個のパーツ
添え状の基本構成は「日付、宛先、差出人情報、表題、頭語+挨拶文、本文、結語、記書き、以上」です。それぞれに含まれる内容と注意点をざっと見ておきましょう。
1. 日付
作成日ではなく、ポストに投函する日付を書きます。西暦・和暦表記はどちらでもよいですが、履歴書や職務経歴書など同封物に合わせてください。
2. 宛先
封筒の宛先と同じものを記載します。会社名・部署名・役職・氏名・敬称の順番に入れるのがスタンダードな書き方です。敬称は、部署全体に宛てたものなら「御中」、採用担当者に宛てたものなら「様」としましょう。
3. 差出人情報
住所・氏名・電話番号・メールアドレスの順番に自分の情報を盛り込みます。メールの署名や履歴書に書いた連絡先と同じものを使ってください。
4. 表題
添え状のタイトルにあたるものです。どんな時にも使える汎用的な表現なら「書類の送付について」としましょう。「応募書類の送付について」「履歴書の送付について」と内容物を具体的に含める書き方もできます。
5. 頭語+挨拶文
「拝啓」を使うのが一般的です。挨拶文には、時候の挨拶もしくは安否を気遣うフレーズなど、状況に応じたものを入れてください。
6. 本文
書類を送付するにいたった事情、書類を送ったことを簡潔に述べます。「ご面談の機会を頂けますと幸いです」「ご多忙の中を恐縮ですが、ご査収ならびにご選考のほど、よろしくお願い申し上げます」といった相手に対するお願いごとも本文内に含めましょう。
7. 結語
結語は「敬具」とするのが一般的です。なお、頭語と結語の組み合わせは以下のようなものもあります。
・拝啓-敬具(一般的な手紙)
・前略-草々(親しい方への手紙)
・急啓-草々(急ぎの手紙)
・拝復-敬具(返信の手紙)
頭語と結語の組み合わせを間違えたり、適切な使い方ができていなかったりすると、常識のない人だと思われてしまう可能性もあります。上記のような決まりがあることを把握し、間違えないように注意しましょう。
8. 記書き
「記」と書いた後ろに内容物の詳細、枚数を記載します。
9.以上
この文書はここまでで終わりです、といった意味で、末尾に必ず「以上」をつけます。
こちらからテンプレートがダウンロードいただけます。それぞれの用途に応じてカスタマイズしていただき、ご利用ください。
添え状(添付状)を書く時の注意点とポイント
用紙のサイズは、履歴書・職務経歴書と合わせましょう。一筆箋はややくだけた印象になるため、ビジネスシーンに不向きです。
一般的には、パソコンを使って横書きスタイルで作成します。誤字脱字があると「ミスが多い人物」と印象づけることになりかねないので、封筒に入れる前に確認しましょう。
履歴書・職務経歴書の上に添え状を置き、全てまとめてクリアファイルに入れれば、雨が降ってもインクがにじむ心配もなく、気遣いをアピールできます。封筒に入れる際は、スムーズに読める向きに揃えるようにしましょう。
意識していないとうっかりすることも多いので、一つずつ確認しながら作業しましょう。
季語を含めた挨拶文の具体例
季語を含めた挨拶文とはいっても、転職活動で使うもの。プライベートのお便りに含めるような「新緑が映える季節となりました」「寒さが身にしみる季節となりました」と気の利いたフレーズに違和感を持つ人も多いのではないでしょうか。
そんな人には「○○、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」の定型文をおすすめします。○○のところにだけ季語を使った言葉を入れるシンプルな挨拶文です。
参考までに、季節に合わせて使いたい単語の候補をご紹介します。
1月:寒冷の候・寒風の候・厳冬の候・厳寒の候・頌春の候・新春の候
2月:立春の候・余寒の候・春寒の候・寒明けの候・残雪の候・梅鴬の候
3月:早春の候・浅香の候・春色の候・春分の候
4月:春暖の候・仲秋の候・温暖の候・春陽の候・春和の候・桜花の候
5月:新緑の候・薫風の候・惜春の候・老春の候・暮春の候・軽暑の候
6月:向夏の候・小夏の候・梅雨空の候・初夏の候・長雨の候
7月:盛夏の候・酷暑の候・白雨の候・早天の候・星祭の候
8月:立秋の候・晩暑の候・季夏の候・残暑の候・晩夏の候
9月:初秋の候・秋涼の候・孟秋の候・新涼の候・名月の候
10月:仲秋の候・秋冷の候・紅葉の候・錦秋の候
11月:晩秋の候・向寒の候・残菊の候・初霜の候・夜寒の候・落葉の候
12月:初冬の候・年末の候・師走の候・寒冷の候・冬至の候
「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」の部分は「貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます」などと言い換えることもできます。履歴書や職務経歴書を送る時だけでなく、転職した先でも使える表現ですので覚えておくと良いでしょう。
まとめ
複数社に送ることまで想定してフォーマットを用意しておけば、必要な部分を入れ替えてプリントアウトするだけなので、作業時間を短縮できます。時間がある時にでも、自分なりのフォーマットを作ってみましょう。
ただし、他の会社の担当者の名前を入れたまま使い回してしまったり挨拶文の修正を忘れてしまったりすることがないように、印刷前+印刷後のダブルチェックをおすすめします。
履歴書・職務経歴書送付時の添え状ひとつで、他の人との差をつけられるものです。長年培ってきた社会人としてのマナーを採用担当者へアピールする意味でも、正しく作成しましょう。