50代男性の転職体験談 | 日雇いも風俗勤務も経験した過去。ポジティブに、常に前を見ていれば、新しい仕事には必ず就ける。

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これまで10社以上の仕事に就いてきた高須さん(仮名)55歳。年齢を経たこと、そして経験社数が多いこと。それぞれの理由で仕事に就くハードルは上がるものですが、現在は建設会社の営業として正社員で活躍しています。逆境をはねのけるその秘訣についてお話を伺いました。

バブル景気の中、イベント会社へ就職。ヘッドハンティングされるも想定外の結果に。

地元福岡で高校まで過ごした後、学校の先生になりたいという思いもあり、東京の体育大へ進学。当時はバブル前夜ということもあり、就職も容易な状況。大学のOBが経営していたイベント運営会社へ就職を決めました。

そこでは、主力事業であった建設関連の仕事を主に担当。現場にも顔を出す忙しい生活を過ごすも、30歳で課長へと昇進。順当なキャリアを積み重ねていました。その頃、地元の福岡へ転勤。会社も上場を果たすなど、年収も高い水準をいただいていました。

そうして、転機が訪れたのは33歳の時。同業の会社からヘッドハンティングを受けたのです。提示されたのはその時よりも高い年収条件でした。

現状の環境に大きな不満はない。しかし、当時二度目の結婚をしたこともあり、高い収入は魅力的でした。そうして、家族からの反対を押し切って転職を決めたのです。

しかし、入社してからわかったのは、提示された条件は架空のものだったということ。年収も違えば、保険もなし。騙されたことに気づき、すぐに退職して違う仕事を探しました。

その時存命だった父からは「お前は金に釣られたんだ」という言葉をかけられたことを覚えています。33歳の頃のことです。

長続きしない仕事の数々。そして、離婚に至ることに。

幸いにも次の仕事はすぐ見つかりました。中堅の型枠業者に営業として採用が決まったのです。しかし、2年半ほどした頃、経営破綻。社長が自殺するという悲劇もありました。

しかし、家族を養うためには働き続けなければなりません。半年くらい友人の会社でアルバイトをした後、ラーメン屋の社員として採用されました。

社員として働いてから、数ヶ月すると店長へ。その後、いくつかの店舗を統括するエリアマネージャーに昇進しました。さらに、最初のイベント会社で広告宣伝に関わっていたこともあり、ラジオCMなどを手がける本部へ配属されるなど順調なキャリアを歩んだかに思えました。

しかし、働いて3年ほど経った頃、社内のいざこざに巻き込まれ、やむなく退職。それが、ちょうど40歳の頃です。

それまでは、退職しても次の仕事が見つかるのにさほど時間はかかりませんでしたが、冷え込んできた景気のせいか、自分の年齢・職歴のためか、なかなか次の仕事が決まりませんでした。

その間は運送の仕事やテレアポのバイト、日雇いの人夫もやりました。そんな状況だったこともあり、妻とも離婚。子供は妻が引き取ることになりました。

「養育費を稼がないといけない」その思いで飲食のフランチャイズへ社員として就職。ですが、役員と相性が合わなかったこともあり、1年あまりで退職。その年の冬が寒かったことを覚えています。

働くことへのモチベーションが上がらないなか、選んだ職場は中洲のソープランド

実家へ戻り、アルバイトに励む日々。稼いだお金のほとんどは養育費の支払いに消える毎日を過ごすうち、働く意欲が下がってくるのを感じました。

その後は、生命保険会社の営業として勤務。売れれば高いインセンティブが得られる仕事でしたが、当初提示された条件と実情が違うことに不満を感じ、1年ほどで退職を選びました。この仕事を通じて、営業などの人と交渉する仕事への疲れを感じ、頭脳労働ではない仕事に就きたいと考えるようになりました。

そんな中で家庭の事情で実家を出なければならない状況に。寮に暮らしながら働ける仕事を探すなか、見つけたのは歓楽街・中洲にあったソープランドのボーイの仕事でした。一日1万円、年金や保険はなしという条件でしたが、背に腹は代えられない気持ちで働くことを決めました。

働き始めてわかったのは、40歳を過ぎてこの業界に入る人間はほとんどいないということ。在籍していたのは、これまで何らかの水商売に関わってきた人ばかりでした。その中で掃除など下働きをするうち、ルーティンの作業も効率よくこなすように。

そんな働き方が認められたのでしょうか。店長、さらに部長にまで昇進することができました。おかげで最初の会社に入った頃まではいかないまでも、経済的には潤うようになりました。

しかし、胸にあったのは「いつまでこの仕事を続けるんだろう」という思い。そんなときに転機が訪れました。父が亡くなったのです。様々な思いが胸を去来しました。

そうして新たな環境に身を置くことを考え、東京へ旅立つことを決めたのです。ソープランドに勤めて4年が経った頃。47歳になっていました。

上京して就いたのは警備の仕事。様々な資格も取得し、正社員へ登用

東京へ出てきたのは震災が起きる少し前。住む場所がないため寮暮らしができる仕事を探したところ、資格もいらず、それなりに稼ぐことができる警備の仕事に就くことにしました。

就いたのは交通警備。体力的な負担はありましたが、夜勤を含めれば月に30万から35万稼げることは、養育費を払う状況から考えると魅力的。3年ほど交通警備の現場で働き続けました。

そうしたある日、東北地方のとある自治体で、復興を支える臨時職員の募集を発見。その仕事に対して興味が湧いたので、応募することを検討しました。しかし、そうなると今の仕事をどうしよう。受かるかどうかもわからないけど、いっそのことやめる前提で受けようと思い、社長にそのことを伝えました。

すると社長から「営業の仕事に就かないか」という思いがけない言葉が。なぜ自分を誘うのかと聞いたところ「警備の仕事に就く人の多くは、キャリアダウンだという意識を持って入社してくる。だけど、君は違った」という一言が。

この社長とは相性の良さを感じていたし、そのような評価をされたら仕方ありません。結果的に自治体の受験は2次で落選したこともあり、気持ちを切り替えて営業として働くことにしました。

そうして始めた営業の仕事は、新規依頼の電話がひっきりなしにかかってくる状況。警備の需要が高いことを改めて認識しました。営業となってから生活の安定を得ることはできましたが、なかなか忙しい日々が続くように。

さらに、「警備員指導教育責任者」の資格を取得していたこともあり、研修の講師も担当していたため、過労に近い形で体を壊してしまいました。そうして、自分のペースで働ける仕事を選ぶためにまた退職を選んだのです。

自分の意識がポジティブであれば、新しい仕事は必ず見つかる

そうして今の仕事は道路カッターを扱う建設会社の営業に。3年ほど前からこの仕事に就いています。当初は腕に職をつけたいと考え、職人になるためこの会社の門を叩いたのですが、社長から営業をやってくれないか、と相談を受け、引き受けた次第です。

社長は一回り近く年下ですが、馬が合う関係。何歳まででも働いてくれて問題ないよ、と言ってくれます。その期待に応えるためにも、どうやって会社を大きくするべきか、そういったことに頭を悩ませる日々です。

これまで様々な仕事に就いてきました。年齢を重ねたこともありますが、転職回数の多さが原因で、仕事になかなか就けないことも多くありました。しかし、それも過ぎたことです。

きっと我慢をしていれば、長く勤められる職場もありました。しかし、どうしても合わせたくない相手もいれば、身を置きたくない環境だってあります。耐えられないストレスを日々感じ、我慢しながら過ごすよりも、自分が環境を変えて自由になることをこれまで選んできました。それが、自分の性分です。振り返ることはありません。

風俗業で働いたことも、後ろめたいこととは思っていません。それを隠してこなかったからこそ、気に入ってもらえた相手も多くいました。

大切なのは、これまでの自分を認めて、そのうえでポジティブでいること。

そうすれば、きっと自分を認めてくれる相手に出会え、新たな仕事に就くことだってできるはずです。

子供も大きくなり、養育費も払い終えることができました。これからは、未来のことを考えながら働き、そして人生を過ごしていこうと思っています。
※年齢は2019年5月取材当時のものです

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