50歳の転職、気になる年収は?
- キャリアを考える
- 公開日:2019年5月 7日
50歳の転職。年収が減るリスクを考えると足が重くなってしまいがち。そこで今回は、年収を切り口に50代の転職について取り上げます。人生が本当に100年続く時代ならば、50歳はまだ人生の折り返し地点。前向きに転職を検討して、残りの50年を謳歌しましょう!
50代のお給料事情とは?
50代が転職を考えるタイミング
社会に出たばかりの頃は、とにかく仕事を覚えるだけで精いっぱい。やがて経験を積み、ノウハウも身について、気付いたら部署をマネジメントする側へ......。これまでの人生を振り返って懐かしくなる経験、皆さんもあるのではないでしょうか。
しかし人生は往々にして、予想外のことが起きるもの。50代での転職もその一つでしょう。
人間関係のいざこざに疲れた。配置転換で希望の職種から離れた。勤務している会社が業績低迷し、リストラの不安を抱えている。会社から早期退職を暗に勧められている...、など様々な状況が考えられます。
たとえ現段階での待遇が良くても、仕事の内容、働く環境、会社の状況などの様々な理由から転職を考える人はたくさんいるのです。
50代の男女別平均年収
しかしいざ転職をしようと思っても、転職後の年収が気になって一歩踏み出せない方も多いのでは。たとえ気の置けない相手でも、気軽に聞けないのがお金の話題です。
そこで、年代別・男女別の平均年収について調べてみました。
50代前半の平均年収は、男性が680万円前後、女性が300万円程度という調査結果が出ています。男性の場合、50~54歳で年収がピークを迎え、その後は緩やかに低下。60~64歳で500万円程度に減少しています。
一方、女性は300万円前後で推移しており、55~59歳まで年収が大きく変化していません。これは、女性が出産や子育てなどでの休業、復帰後の時短勤務などにより管理職への昇進が少なく、役職給などが得られていないことが原因でしょう。
50代の業界別年収ランキング
なお、男女別ではなく業界別でみた平均年収では、「電気・ガス・熱供給・水道業」が約907万円、「金融業・保険業」が約784万円、「情報通信業」が約765万円と高い給与水準を得ていることがわかります。
転職した場合、年収水準はどう変わる?
一般的に、企業が人材を中途採用する場合、その人の経験やスキルなども含めて評価するもの。50代の場合は、特に専門知識・技術やマネジメントの経験、人的ネットワークなどが評価の対象になることが多いようです。
また、新規事業の立ち上げなど、大規模なプロジェクトを自ら企画・運営して成功させた経験なども、経験豊富なキャリアとして高く評価される可能性があります。
しかし、皆さんの経験やスキルにどれだけの価値があるかを評価するのはあくまで雇用する側。そのため、「自分はこれだけの経験をした」という自負があっても、その経験スキルが企業から評価されなければ、希望する年収が提示されないことも覚悟しておくことが大切です。
福利厚生次第では、年収が逆転する可能性も!?
福利厚生の有無によっても、年収が変わってきます。たとえば住宅手当を受給していた人が、住宅手当のない会社に転職したら? 出張手当や昼食手当、家族手当など、福利厚生の内容は会社によってさまざまです。
そのため、「提示された年収は前職より低かったけれど、福利厚生が手厚いので実際の手取りは前より上がった」ということも。もちろん、その逆もあり得るので、福利厚生の内容も検討した上で、転職先を選ぶことが大切です。
50代でも転職できる!?仕事は?収入は?
50代の転職にはどんな仕事がある?
次に、雇用のニーズから50歳の転職について考えていきましょう。
たとえ過去の経験を活かして転職したくても、その業界の雇用ニーズが低いと、なかなか良い求人に出合うことができません。逆に、雇用ニーズの高い業界・職種なら求人が多く、転職しやすい傾向にあります。そこで、雇用ニーズが高く、50代にオススメの職種をご紹介します。
【タクシードライバー】
ミドルシニア世代が多く働いており、転職しやすい職種の代表格。シフトを選んで自分の生活にあった働き方ができます。中には、70代になってもバリバリ働くドライバーも。
歩合制を採っている会社が多く、働き方次第では高給も実現できます。未経験可とする会社も多く、敷居の低さも魅力です。
【介護職・看護師】
医療・福祉業界は人材が慢性的に不足していることもあって、転職しやすい傾向にあります。特に看護師や介護福祉士などの資格職を必要としている医療機関や施設は多数あります。
子育てなどでブランクのある方を歓迎し、自分に合った働き方を選べるところも少なくありません。「50代では正職員として勤務し、60代に入ったら雇用形態をパートに変更する」といった要望にも応えてくれるところもあるので、長く勤めたい方にオススメです。
また、介護職の場合は「未経験でも入りやすい」というメリットがあります。経験を積んで資格を取得し、施設長などへのキャリアアップをめざすことも可能です。
【メーカーの製造職】
工場でモノづくりに取り組む製造職も、ミドルシニア世代が多い職種です。比較的単純作業が多く、特別な資格やスキルを必要としません。現場研修を用意しているところもあり、未経験でも入りやすいというメリットがあります。
【ビルの清掃職】
オフィスビルや商業施設の環境をクリーンに保つ清掃職は、特別な技術を必要としないことから、入りやすい職種の一つに挙げられます。高齢者も多く働いており、特にパートなど短時間勤務を希望している方にオススメの転職先です。
50代の転職、仕事探しのポイントは?
ポイント1 ミドルシニア世代を多く採用している業界・職種を狙う
企業が人材を採用する際、50代には「定年までの期間が短い」というデメリットがあります。50代に雇用価値を見出し、積極的に採用している業界や企業もありますが、中には50代をほとんど採用していない企業もあり、注意が必要です。
ポイント2 過去の経験に縛られず、未経験の業界や職種も考える
また、過去の経験を活かせる転職先が見つかれば良いのですが、時間をかけて求人を探しても望む転職先が見つからない場合は、視野を広げて未経験の職種や業界も考えることをオススメします。
ポイント3 ライフスタイルに合った雇用形態を選ぶ
働き方も検討してみましょう。50歳ともなると「体力が低下し、昔のようにバリバリ働けなくなってきた」「親を病院に連れて行くので、月に二度は休みをもらいたい」など、さまざまな事情が生まれてくるもの。そのため、50代の自分に合った働き方ができる勤務先を選びましょう。条件さえあえば、パートだって選択肢です。
ポイント4 住民税の支払いは忘れずに
住民税は前年度の年収によってその年に支払う額が決まるもの。そのため、転職活動のさなか納付の通知が来て、「こんなに住民税を支払わないといけないの」と驚いてしまうことがあるかも。転職活動を行う時は、やがて来る住民税の支払いも考慮して、家計をやりくりしておくことをオススメします。
まとめ
人生の折り返し地点である50歳にさしかかり、これから先の50年をどんな風に生きていこうと考える――50歳の転職は、今後の人生を豊かにしていくための良いキッカケになるかもしれません。
年収はもちろん大切ですが、前述の通り、福利厚生が充実しているなどの条件があれば年収以上にゆとりのある生活ができる場合もあります。
大切なのは必要な情報を入手して、50代の自分を評価してくれる会社と出会うことです。そのためにも、日頃から求人サイトの情報をチェックして、50代の雇用ニーズを把握しておきましょう。