「ミドルシニアのためのキャリアの教科書」連載はじまります!
- 木村勝のキャリアの教科書
- 公開日:2017年12月 6日
「働けるうちは働きたい人のためのキャリアの教科書」の著作をはじめ、様々な執筆活動もされている木村勝氏のコラム連載がスタートします。人事業務・シニアキャリアのコンサルティング、そして人事の独立業務請負人(インディペンデント・コントラクター)、さらに行政書士と多数の肩書を持つ木村氏から、ミドルシニア層が歩むべきキャリアのヒントをお届けしていきます。第一回は木村氏のご紹介です。
連載のご挨拶と自己紹介
今回からマイナビミドルシニアでコラムの連載を担当することになりました、木村勝と申します。
「リスタートサポート木村勝事務所」という事務所を設け、人事業務・シニアキャリアのコンサルティング、そして人事の独立業務請負人(インディペンデント・コントラクター)&行政書士を営んでいます。
これからお付き合いよろしくお願いします。
当方の経歴を簡単にご紹介しますと、1961年生まれ。1984年、バブル前のタイミングで新卒にて大手自動車メーカーに就職。入社後は、途中で販売会社への営業職での出向や業界団体への出向も経験しつつ、主に人事畑で勤務を続けてきました。
その後、自動車メーカーおよびグループの関連会社の人事業務を担当する会社(シェアードサービス会社)へ出向後、45歳で転籍。
するとその会社が、なんと外資系の人事BPO企業(ビジネス・プロセス・アウトソーシング=人事に関する業務を外部委託として実施する企業)へ、100%資本譲渡に!看板は外資系に変わったその会社で、人事責任者として勤務を続けてきました。
その後、52歳で独立のため退職。今に至る、という経歴です。
大企業にいるから安泰、という時代は終わりを迎えている
入社した時点ではなんとなく「入社した企業に定年までいるんだろうな...」と思っていましたが、実際は会社都合ではありますが様々なキャリアを経験し、結果的に変化に満ちたサラリーマン生活を送ることができました。
バブル前入社世代で、自ら転職を考えたことのない当方でさえ、このように何社か「会社を渡り歩いた」ということになります(その意識はありませんが、履歴書を作成する際にはそれぞれの会社を記載することになります)。
ましてや、当方よりも若い世代の方々においては、今は転職する意思が無い方でも、会社の資本譲渡や事業部売却、さらにM&Aなどにより「結果的転職」(妙な言い方ですが)という状況になる方がますます増えて来る可能性が高いと思います。
「大企業にいるから安泰だ」。これは、日本のビジネスパーソンの誰もが疑うことなく受け入れてきた大原則です。
しかしながら、これからの時代、新卒入社して厚生年金が支給開始される65歳まで43年間(大学卒の場合)、リストラや事業売却などの荒波に遭遇することなく、一つの会社で定年を迎えることはもはや夢物語です。
自らのキャリアをじっくり考えるタイミングを持とう
このように自分が望む・望まざるにかかわらず、大きなキャリアの転換が否応なく求められるのが現在の雇用環境です。このような環境においては、「一度どこかの時点で立ち止まり、じっくりと自らのキャリアを考えるタイミングを設けること」が重要になってきます。
これまでは、60歳という比較的若い年齢で強制的に考えるタイミングが発生していましたが、65歳継続雇用が義務化された時代を迎えたことで、60歳という節目は役割を果たさなくなりました。
かつては定年退職というと、それは一大イベントでした。課内で大々的な送別会を開催し、最終日には定年退職者から最後のご挨拶、その後みんなで会社玄関前までお見送り、タクシーに乗って帰宅する、という会社も多かったと思います。
しかし、65歳雇用義務化により、今は60歳での定年退職といっても何も変わりません。多くの場合、雇用契約は正規から非正規の有期労働契約に変わりますが、人事課が進める一連の事務手続きに従うだけですので、自分が有期契約社員になったという自覚のないまま、また、周囲も定年退職者に特別に気を払うことなく、今まで通り何もなかったように勤務を続けるだけです。
人生100年時代、自律的なキャリアコースを歩もう
最近、60歳定年退職直前のシニアの方々とお話しする機会が多いのですが、今の会社に再雇用される場合でも、ご自身で家庭環境や将来のキャリアを考えたうえで「今の会社に勤め続ける」という積極的な判断された方は少ないです。
「まわりのみんなも再雇用で働くから」「特にやりたいこともないし」「まずはそのまま。そのうち考えよう」という何となくの理由から、なし崩し的にこのキャリアコースを歩んでいる方が多いのが現実です。
人生100年時代、例えば60歳から90歳まででも30年間もあります。30年間というと20歳から50歳まで今まで歩んできた青年・壮年期の期間と同じ長さです。60歳・65歳から先の人生は確実に長いのです。
こういう時代こそ、周囲に流されることなく、「自らのキャリアを考える」という行為を自律的に行うのは、ビジネスパーソンとして生き残り、活躍を続けていくためには必要な作業だと、当方は考えています。
人生100年時代には、その時代にあった今までとは異なるキャリア戦略が必要になります。その意味でも、ミドルシニアの時期に一度立ち止まって自らのキャリアを考えてみることは極めて重要です。
「自分のキャリアは自分で決める。決めたら行動する」。自分で納得して行った意思決定に後悔はありません。
こちらの連載においては、働きながらでも「自らのキャリアを考えていく」契機を生み出せるよう、皆様にポジティブな気づきを提供していけるよう、様々な情報をご紹介していきたいと思っています。
これからどうぞよろしくお願いします。