「嫁ブロック」を引き起こす3つの要素。話し合いで解決するポイントとは?

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転職を行う際に、妻からブロックがかかる。その通称が「嫁ブロック」。最近よく聞くようになった言葉ではありますが、意味を理解できていますか?嫁ブロックとはどんな場面で使われるのか、どういう場合に起きやすいのか、どのようなことに気をつけておくべきかなどを紹介します。

嫁ブロックとはどのようなものか

「嫁ブロック」とは、妻の反対から転職先を内定辞退したり、起業をあきらめたりする決断を意味します。もともとは採用担当者や転職エージェントなど転職市場での専門用語とされていましたが、一般にも広く知られるようになりつつあり、活用範囲が広がっている言葉です。

35歳以上の男性転職・起業希望者のうち4人に1人は「嫁ブロック」を経験しているとも言われており、40代・50代の男性も他人事ではありません。しかも、嫁ブロックを経験した方のうち半数近くは内定を辞退する結果に...。このような実態を見ると、転職活動においては家族への相談・同意を受けながら進めることが非常に重要であることが見て取れます。

意見の食い違いから、最悪離婚ということになってしまうと、転職は成功してもプライベートでは失敗、という結果を招いてしまうことも...。転職に際してプライベートに支障が生じないためにも、正しい対策が必要です。

嫁ブロックを引き起こす3つの要素

嫁ブロックとは言っても、意味もなく反対されるわけではありません。妻の反対を受ける原因として、大きく3つの要素が関係します。

給与に関する懸念

まず、給与に関する懸念です。夫の収入を主な家計の収入源にしている家庭では年収が生活レベルに直結するため、転職をきっかけに暮らしが一変するリスクを考慮する傾向が見られます。40代や50代では住宅ローンを抱えている方や、子どもの教育費などの出費も多くあります。そのため、現在の会社でもらっている年収を基準とした収入に関する懸念はかなりシビアに見られやすいポイントでしょう。

勤務地に関する懸念

次に共働きの家庭に多い要素として、勤務地に関する問題があげられます。引っ越しを伴う転職となれば妻も一緒についていくことを考慮しますし、自分も転職を余儀なくされたり、キャリアを諦める選択が生まれたり。そのような事態を避けたい想いが反映された結果です。
仮に単身赴任という選択をしたとしても、生活に変化が生まれるほか、世帯としての出費が増えるなどの様々な要因がリスクとして捉えられる可能性は高いです。

勤務条件に関する懸念

最後に、休日の曜日など勤務条件に関する要望です。晩婚化の影響もあり、40代や50代でも子育て中という夫婦もいることでしょう。土日休みの仕事でなければどうしても子どもとすれ違いの生活になり、懸念を感じる妻もいます。夫婦共働きの家庭なら、妻にばかり子育ての負担がかかる状態に陥るリスクも不安要素になるでしょう。

嫁ブロックの理由と対策

給与に関する対策

給与に関する対策としては、転職による将来的な収入アップの可能性を伝えることで説得します。40代以降の転職だと一時的に年収が下がることは多くありますが、その後の昇給はもちろんあります。
そのため、家計に影響が出るのは一時的と説明することで心理的な不安を軽減し、奥さんからの「YES」を引き出しましょう。

給与が下がった時のために自主的に小遣いを積み立ててきたなど、預貯金を引き合いに出して話し合いを進めるのも一案です。家計をないがしろにして決断したわけではないことを理解させ、相手の立場に立った言動を意識しましょう。

勤務地に関する対策

勤務地に対する懸念の対策としては、妻の仕事に対する理解を見せ「単身赴任になっても構わない」と伝えることが考えられます。どうしても単身赴任に抵抗を感じるようなら、妻が仕事を続けられる距離の範囲で転職先を再検討。もう1度求人探しをしてみるのも一案です。自分の気持ちばかりを強要してもなかなかうまくいかないため、お互いに譲り合う気持を持ちましょう。

妻が専業主婦やパートタイムの場合など、夫の収入が家計の中心になっているようなら、引っ越しによって今より広い住まいを借りるなど、ポジティブな面を伝える方法も有効です。転居した先で同様の仕事を探せばいい、と頭を切り替えられるくらい妻にとってポジティブな情報を提供できれば、転職に対して同意を得られることも考えられます。

勤務条件に対する対策

家族のすれ違いへの懸念に対する対処としては、月に1度は家族と休日を合わせる、朝食は必ず一緒にとるなどライフスタイルに合わせた約束が考えられます。シフト制の仕事であれば、子どもの運動会、卒業式などの行事は夫婦で参加を約束するのも一案です。

家族と過ごす時間を確保する約束をしたうえで「収入アップを目的とした転職で、子どもの大学費用を貯めたい」「55歳までに住宅ローンを完済するためにも転職が必要」など、自分だけの意思を押し進めた決断ではないことを伝えてみましょう。妻にとって納得がいく理由であるほど嫁ブロックを回避しやすく、転職がスムーズに進むケースもあります。

嫁ブロック発動時は夫婦が話し合うチャンス!

嫁ブロックに対して「自分の気持ちを分かってくれない」と退けるのは簡単ですが、見方を少し変えてみましょう。40代や50代ともなると妻とは長きに渡る付き合いというご夫婦も多いはずで、夫の性格や考え方の癖を良く理解している相手が「奥様」です。

細かい仕事の内容やキャリアプランについては分からなくても、「本当は今の仕事が好きなのに、良い結果が出なかったことで一時的に落ち込んでいる」「友人に影響されやすいところがあるから、同窓会に出たことで転職したい気持ちになっているだけ」など、夫の性格をふまえたうえで「今は転職のタイミングではない」と判断した結果として嫁ブロックを発動している可能性はないでしょうか。

二人三脚でより良い未来を作りたいと思っているがゆえに「即決は避けたい」と考える妻も多く、よく話し合って結論を出さないと、後悔する結果となります。

結婚生活が長くなるに連れてすれ違いも多くなり、夫婦でじっくりと向き合う時間がなくなってきます。「転職したい」と思ったことをきっかけに将来設計や家計について話し合う時間を持つと、お互いに対する印象も変わってきます。

夫婦が同じ方向を向いて明るい将来を築いていくための選択が「転職」という答えであれば、家庭と仕事はどちらが重要というものではなく、公私ともに幸せな未来を追求するべきです。自分のことを親身に考えてくれる存在が身近にいることをありがたいことと捉えて、夫婦で今一度話し合いを進めてみるのはいかがでしょうか。

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