58歳の転職|老々介護を支えるために選んだ転職先とは。【転職インタビュー】
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- 公開日:2017年10月24日
- 最終更新日:2019年4月25日
設備機械メーカー業で長年サラリーマン人生を過ごしてきた増尾さん(58歳・男性)しかし、父親の介護をしていた母親が骨折で入院。さらに、勤めていた会社の場所が移転...。仕事・介護・自分の家族の関係、それぞれをコントロールするために決意した転職先とは。
きっかけは母の入院、そして父の介護...
もともと、設備機械メーカーの購買担当として働いていました。一つひとつ値が張るものを取り扱っていて、まとめて受注・出荷となると大きな額が動くような仕事ですね。忙しさはありましたが、やりがいはすごく感じていました。
そんな中、生活が一変したきっかけが母の入院。もともと父がパーキンソン病でして、外に出るのがほとんどできない状態でした。そのため母が父親の面倒を見ていたんです。いわゆる老老介護というやつですね。
4年ぐらい前、母が外に買い物しているときに、転んでしまいまして。その時、大腿骨を骨折してしまったんです。手術とリハビリのために母は入院となったんですが、母がいない間、誰が父の面倒を見るか...となりまして、長男である私が面倒を見ることになりました。
今もそうですが当時つくば市に住んでいたものですから、渋谷区にある父の家に住み込みながら、港区の職場に通っていました。しかしそんな中、会社が神奈川県の郊外に移転する話が出まして...。
しかも私自身が移転の担当に。会社が無事に引っ越せるよう、色々動いていました。
無事に会社の移転はできたのですが、渋谷区の家から神奈川の会社へ...さらに自宅はつくばと...移動の範囲がかなり広くなりまして。半年は勤めたんですが、やはり距離と時間のコントロールができなくなってしまい、転職を決意しました。
のしかかる「時間のコントロール」の難しさ
転職活動は退職後に始めました。この頃には母も無事に退院しまして、父親の介護もできるようになったのですが、全部やれる状態ではなかったので、兄弟4人で交代しながら介護をサポートする体制にシフトしていきました。
はじめは介護をしつつも自分の生活が成り立つよう、最初はつくばの自分の家の近くで探していたんです。つくばでしたら通勤のロスは省けますので。
1社内定をいただきまして、同じ業界で入社しました。ですが、やはり専門職だからか個人的な事情が通用せず、時間のコントロールができない職場でした。
例えば、「●月●日に父を病院に連れていくから」と事前に休みを申請しても、当日にトラブルが起きてしまうと、現場に行かないといけない理由で休めないなんてことはざら。
他の人に代われない状況なら自分が行くしかない世界ですので、介護と両立ができなかったんです。
それで限界を感じまして、その会社は1年で退職しました。
その時私は56歳。正直、この年でも働けるのか不安がありました。そんな中タクシーの求人を拝見しまして、タクシードライバーならこの年齢でもうまくやっていけそう、介護をしながら仕事もできるのではと考えたんです。
今までの業界とは全く違うものでしたので、まったくわからない状態ではありましたが、色々なタクシー会社さんの話を聞いて、どういう仕事なのかを勉強させてもらいました。その中で日本交通を選んだのは説明の分かりやすさや面接官の人柄に惹かれてですね。
この会社だったらやっていけると思いまして入社しました。
環境の激変。不安や葛藤を乗り越えて...
正直、業界を変えることについては、かなり葛藤しましたね。自分が今まで積み上げてきたものをガラリと変えますし、なんとなく自分を否定するのではないかという怖さもありました。
しかし、仕事・介護・そして家庭の関係をうまくコントロールするためにタクシー会社を選びましたし、何社も回ってそれぞれお話を聞いていたので仕事に対するギャップはありませんでした。
入社した直後はとにかく道を覚えることに全力をかけていましたね。
やっぱり一人でお仕事をしていきますので、手取り足取り教えてくれる...というわけではない。研修で丁寧に教えてはくれますけど、自分のものにしなければ意味がないと思いますから。
ただ、お仕事をしているときにバックアップ体制が整っているなとは感じています。
細かいことでも困ったことがあると、すぐ事務所に電話するんですよ。丁寧に的確に教えてくれますので、すごく助かっていますね。
環境はかなり変わったと思います。
今の会社だと、毎月休みたい日を事前に出しますが、仕事の都合で「急に変わってくれ」なんてことがないんですよね。
だから前の会社と比べて時間のコントロールがかなりできるようになりました。
あと、仕事の宿題があまりないのも嬉しいですね。
人それぞれではあると思いますが私の場合、業務が終わった後は全然仕事のことは考えてなくて。でも会社はそれを咎めないんです。なので気持ち的に楽ですよ。
仕事が終わった後は介護も手伝っていますが、趣味のゴルフも楽しんでいます。
それと、同期の存在もありがたい。
20人近く同期がいるんですけど、今でもその付き合いはありますし、相談をしたりしています。
タクシーって奥が深いですね...。
勤めてもうすぐ2年になりますが、お客さんを確実に安全に、スムーズに目的地にお連れする世界ですので、まだまだ努力しなければって感じています。
「変えないといけない」そう思い、私は一歩踏み出しました
転職の契機って色々あると思うんですよ。本当に私なんかの年代は親とかの問題が出る年代だと思うので、上手くコントロールできなくなるんですよね。
自分の家族、親、そして仕事の関係をうまくコントロールできないと感じ始めたら、一度自分の生活を見直していくべきかもしれません。
母が入院したとき、自分もそうですけど妻にも相当な負担をかけてしまったなと今になって思います。
私の場合、子どもは独立しているし、妻と二人暮らしなので、食っていけるだけ稼げればいいとは思いますが、やっぱり仕事はそれなりの責任は持たされるので自分の思う通りに時間を使えるのが重要だったんです。
しかし、転職をすると決めたとき今まで積み上げてきたキャリアを変えるのはやはり不安です。実際、なかなかお仕事を決められませんでしたしね。
ですが家族に対して何もできない状況が続きましたので、それを変えないといけないと思い、一歩踏み出しました。
現在の会社で働いていて、「変わってよかった」と思います。
※年齢は2017年10月取材当時のものです
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