会社員ができる節税対策!ふるさと納税やiDeCoの仕組みも紹介

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会社員ができる節税対策!ふるさと納税やiDeCoの仕組みも紹介

昨今の物価高や電気代など固定費の高騰…普段の生活で必要となる生活費を考えると、少しでも会社から支給される給与を手元に残したいと考えている方も多いのではないでしょうか。そのためには、節税という選択肢があります。今回は、会社員が払う税金の種類や、すぐにできる節税方法などをご紹介します。

この記事の目次

    会社員が支払う税金を確認しよう

    毎月の給与から、各種税金と保険料を差し引いた金額が、自身が自由に使える金額「手取り」です。まずは、どのような税金と保険料を支払っているのかを確認してみましょう。会社員が支払う税金と保険料の種類は以下の通りです。

    会社員が支払う税金の種類

    ・所得税
    所得税とは、会社から支給される給料など、個人の所得に対してかかる税金のことです。所得税として支払う金額は、1年分の全ての所得から、必要経費にあたる額を差し引いた残りの金額「所得」をもとに計算されます。

    ・住民税
    住民税とは、居住している市区町村(都道府県)などに納める税金のことです。自治体の教育や福祉、公共サービスにかかる費用をまかなうために使われます。住民税も「所得」をもとに計算されます。

    会社員が支払う保険料の種類

    ・健康保険料
    健康保険とは、企業に勤める人やその家族が加入する医療保険制度です。健康保険料は被保険者と企業が負担しあい支払われています。それを財源に、けがや病気などに伴う思わぬ出費がある際に給付を受けることができます。

    ・厚生年金保険料
    厚生年金とは、厚生年金保険の適用を受ける企業に勤める人が加入する公的年金です。厚生年金保険料は、労使折半(被保険者と企業で半分ずつ)で支払います。厚生年金保険に加入することで、老後に年金を受け取ることができます。

    ・雇用保険料
    雇用保険とは、会社と退職した際や失業した際に、再就職するまでに必要なお金「失業手当」などの給付を受けるための保険です。雇用保険料は、自身と企業の双方で支払います。

    ・介護保険料
    介護保険とは、介護が必要になった際に介護サービスが受けられる制度です。介護保険料はその財源として、労使折半で支払います。介護保険料を支払うのは、40歳から64歳までの健康保険加入者です。

    税金と社会保険料は累進課税です。課税対象の所得が増えると、支払う税金や保険料の負担も増えるということです。そのため、節税をする際には課税所得を減らす必要があります。

    会社員が手軽に取り入れられる節税対策5選

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    会社員の方が手軽に取り入れられる節税方法を、5つご紹介します。まずは、自身が取り入れやすい方法を検討してみましょう。

    ①ふるさと納税

    ふるさと納税は、都道府県や市区町村への「寄附」ができる制度です。寄付をした合計金額から自己負担額の2,000円を引いた額が、所得税及び住民税から控除されます。なお、控除上限額には目安があるため、自身の収入や家族構成と合わせて事前に確認する必要があります。

    ふるさと納税は税額控除の金額が大きいため、節税対策として非常に有効な方法です。また、寄附をする自治体は自身で選択でき、自治体からの返礼品を受け取ることができます。自治体ごとにさまざまな返礼品を用意しているため、選ぶ楽しさもあるでしょう。

    本来は確定申告が必要ですが、ワンストップ特例制度を利用すると比較的簡単に手続きを行うことができます。ワンストップ特例制度は、寄付する自治体の数が5つ以下といった条件を満たすと確定申告が不要となる制度です。

    ➁iDeCo

    iDeCoとは「個人型確定拠出年金」といい、公的年金とは別に備える年金です。
    私的な年金制度のため、自ら掛け金を運用して資産形成を行う点が特徴。一度運用をスタートさせると、60歳まで引き出すことはできません。iDeCoでは掛け金から運用益、給付を受け取った際に税制上の優遇措置があるため、節税効果が期待できます。

    加入は満20歳以上65歳まで、60歳を過ぎていても加入可能です。60歳を過ぎて加入した場合は、加入から5年を経過した日から受給開始となります。将来のために備えたい方には、検討しておきたい制度のひとつです。

    ➂NISA

    NISAとは少額投資非課税制度を指し、NISA口座を利用して出た運用益には税金がかからないというメリットがあります。少ない資金から始めることができ、解約(換金)は好きなタイミングでできることから、投資初心者も挑戦しやすい制度です。しかし、元本保証はないため、一定のリスクがあることも知っておく必要べきでしょう。

    現在のつみたてNISAは2023年までで、2024年からは新しいNISAがスタートします。新NISAでは、投資可能期間の恒久化や年投資可能枠の拡大などさらにメリットの多い制度になっていると言えます。新NISAに関する記事はこちら

    ④医療費控除

    医療費控除は、年間で支払った医療費が10万円を超える場合に利用できる制度です。自身の使用した金額はもちろん、生計を同一する配偶者や親族が利用した分も対象になります。医療費控除額の計算は、以下の通りです。

    実際に支払った合計医療費から、民間の医療保険などで補填された額を引いた金額-10万円=医療費控除額(上限200万円)

    ※総所得が200万円以下の場合は、10万円ではなく総所得金額の5%が控除となります。

    通常の通院や入院などのほか、以下のものも医療費として含められます。病院を利用した際だけでなく、薬を購入した際の金額も控えておきましょう。
    ・歯科医での治療費
    ・人間ドックを利用し、疾病が発見され治療した際の人間ドック代
    ・薬局で処方箋の処方されない、市販の風邪薬

    ⑤生命保険料控除

    生命保険に加入している場合は、生命保険料控除を利用することができます。生命保険料控除は会社が実施する年末調整時に、証明書を提出することによって適用されます。生命保険に加入した時期によって限度額などが変わるため、合計額の違いなどは事前に確認しましょう。

    地震保険に加入している場合も、証明書を年末調整時に提出することによって控除を利用できます。地震保険料控除の場合、所得税は最高5万円(保険料が5万円以下の場合は全額)まで、住民税は保険料1/2(最高2万5千円)までの控除が受けられます。

    会社員が特定条件下で行える節税対策3選

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    会社員の方には、特定の条件下で行える節税方法があります。自身が利用できるものはないか、確認してみましょう。

    ①住宅ローン控除

    住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで住居を建てた人・購入した人が10年にわたって利用できる制度です。住宅の種類に関する制限はなく、一戸建てやマンションも対象となります。年間で40万円、年末残高の1%を所得税や住民税から控除することができます。

    住宅ローン控除を受けるためには、購入する物件の面積が50平米以上、借入金の返済期間が10年以上、住宅ローンを利用する人の年収が3,000万円以下であるという条件も。さらに、取得や増改築をした日から6ヶ月以内に居住しなければなりません。

    住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要ですが、2年目以降は金融機関から送付された証明書を会社に提出するのみで手続きが完了します。

    ➁扶養控除

    扶養控除は扶養家族がいる場合に、所得控除が受けられる制度です。扶養控除は扶養親族の年齢や同居の有無などによって異なり、最大63万円の所得控除が受けられます。扶養控除を利用する際は、以下の条件を確認しましょう。

    ・その年の12月31日時点で16歳以上である
    ・配偶者以外の親族である
    ・納税者と生計を一にしている
    ・年間の合計所得が48万円以下(給与飲みの場合は103万円以下)
    ・青色申告者の事業専従者として、その年給料を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者ではない

    上記の条件に該当している場合は、扶養控除が利用できます。また、配偶者控除もあるため、どちらを利用できるか事前に確認しましょう。

    ➂雑損控除

    雑損控除とは、火事・地震などの災害や盗難などで生活に必要な財産に被害を受け、やむなく支出をした際に利用できます。災害関連支出として控除対象になり、確定申告の際には領収書の提出が必要です。

    ただし、生活に必要な財産が対象のため、貴金属や骨董品などは対象外です。さらに、自宅ではなく別荘などが被害に遭った際も対象にはなりません。また、保険で賄われる分についても、控除対象ではありません。

    火災などの災害時には雑損控除のほか、災害減免法による税金の軽減や免除もあります。いざという時のために、こういった制度があるということを知っておきましょう。

    会社員が節税する際の注意点

    会社員の方が節税をする際には、注意すべき点がいくつかあります。今回は特に頭に入れておきたい、3つについてご紹介します。

    ①確定申告を忘れない

    節税制度の中には、会社の年末調整のみで手続きが完了するものがあります。しかし、種類によっては、確定申告をする必要がある場合も。例えば、住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必須です。自身が利用する制度は、確定申告が必要か事前に調べておきましょう。

    確定申告は毎年2月16日〜3月15日の間に、自身で書類を作成し、税務署へと提出します。もし、確定申告を行わなかった場合は脱税とみなされて、延滞税や加算税といった罰則を受ける可能性があります。うっかり忘れていたという場合でも、適用されることがあるため、しっかりと申告を行いましょう。

    ➁節税対策が浪費にならないよう確認する

    より多くの金額をiDeCoやNISAなどに入れて、節税効果を得ようと考えている方もいるでしょう。しかし、支出額を増やし控除額を増やしても、自身の生活に合っていなければ意味はありません。

    例えばiDeCoを利用した場合、60歳まで積み立てたお金の引き出しはできません。しかし、その間に子供の教育費や引っ越しなどで、お金を用意する必要が出てきた場合は、家計を逼迫する要因になります。節税対策によって現在の生活を圧迫することがないよう、優先順位を考えて取り組みましょう。

    ➂控除の上限額を確認する

    控除には、受けられる金額の上限が決まっています。例えば、ふるさと納税のでは一定額以上の寄附を行うと、自己負担金額が大きく増えてしまいます。支出を増やしたからといって、控除額もどんどん増えるわけではないという点は知っておきましょう。控除額の上限は制度によって異なるため、利用前に確認する必要があります。

    まとめ

    会社員の方でも手軽に行える節税対策はさまざまあります。ふるさと納税やNISAなどはもちろん、生命保険や医療費など生活に密着した部分でも控除の対象になります。つみたてNISAなどは少額から利用できるため、無理のない範囲で節税に取り組めるでしょう。

    また、医療費控除は、低所得者の方向けの優遇措置も用意されています。病院に行ったり、薬を買ったりした際は金額を控えておくと控除の申請がスムーズになります。特定の条件を満たすと、利用できる制度もあります。家族がいる方は配偶者控除や扶養控除、住宅を購入した際は住宅ローン控除、災害時に出費が発生した際に利用できる控除などさまざま存在します。

    ただし、制度によっては確定申告が必要な場合や、節税が浪費となってしまう場合があります。確定申告漏れや、思ったよりも出費が増えてしまった、というような失敗をしないよう、申し込み前に1つずつ確認しましょう。

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