住居確保給付金とは?支給対象条件や申請方法、延長のコツまで解説

  • ちょっと得する知識

住宅確保給付金とは、失業や収入の減少で家賃の支払いが難しくなった時に、援助を行う公的制度です。制度について知っておけば、病気や怪我などで万が一働けなくなった時でも家賃の心配をせずに、次の仕事探しなどに取り組めます。今回は制度の概要から申請方法などをご紹介します。万が一の時に備えておきたい、失業時の家賃が不安という人は、ぜひ最後までお読みください。

住居確保給付金(住宅確保給付金)とは?

住居確保給付金とは、離職や休職などにより家賃の支払いが難しくなった人を対象に支援を行う制度です。住居確保給付金は貸付制度ではなく給付制度のため、原則として返済の必要はありません。種類は家賃補助と、転居費用補助の2種類があり、それぞれに対象条件が設定されています。

支給の対象条件

住居確保給付金の家賃補助の対象となるのは、以下の条件に該当している人です。

- 仕事を辞めた・事業を廃止してから2年以内の人
- 自分の責任や都合ではない理由で休業などになり、収入が減った人
- 直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる基準額と、家賃の合計額を超えないこと
- 現在の世帯の預貯金合計額が、各市町村で定める額(基準額の6月分。ただし、100万円を超えない額)を超えないこと
- ハローワーク等に申し込みをし、求職活動を行うこと

条件を満たしていれば、市区町村ごとに定める額を上限に、実際の家賃額を原則3か月間支給され、一定の要件を満たした場合は延長により最長9か月まで受給できます。ただし、申請者本人に支給されるわけではなく、賃貸住宅の賃貸人や不動産仲介業者などに直接支払われます。

転居費用補助の場合は、収入が大きく減少して住まいを失った人や、家賃が払えなくなりそうな人で、家計改善のために家賃が安い住まいに転居する必要のある人が対象です。具体的には、配偶者が亡くなって世帯収入が減少した人や、病気で離職して収入が減った人などが当てはまります。支給要件は以下の通りです。

- 直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる基準額と、家賃の合計額を超えないこと
- 現在の世帯の預貯金合計額が、各市町村で定める額(基準額の6月分。ただし、100万円を超えない額)を超えないこと
- 家計改善の支援において、転居によって家計が改善することが認められること

もし、転居先の家賃が現在より高くなっても、家計全体が改善すれば対象となる可能性があります。

支給金額

住居確保給付金は収入金額によって、支給される金額が異なります。

- 収入が基準以下:実際の家賃額(上限あり)を支給
- 収入が基準を少し超える:「基準額+家賃\-収入額」で算定

また、世帯人数や居住地域によって、支給される上限額も異なります。東京都世田谷区の場合、上限額は以下のように設定されています。

- 単身世帯:53,700円
- 2人世帯:64,000円
- 3〜5人世帯:69,800円

支給されるのは、上限内の実際に支払っている家賃額までです。単身者で、現在5万円の家賃を支払っている場合は、5万円が支給されます。

転居費用の場合は、転居に関する家財の運搬費用・転居先の住宅に係る初期費用・ハウスクリーニングなどの原状回復費用・鍵交換費用などが対象です。敷金や契約時に支払う前家賃などは、対象外になります。費用の上限は居住人数や地域によって異なります。大阪市の場合は、以下の通りです。

- 単身世帯:124,000円
- 2人世帯:178,000円
- 3〜5人世帯:224,000円

利用する際は、事前に住んでいる自治体のHPなどから上限額を確認してください。

住居確保給付金の申請方法

住居確保給付金を申請する際は、以下で紹介する必要書類を揃える必要があります。

必要書類

住居確保給付金を申請する際は、以下の必要書類を用意してください。

- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 収入を証明する書類(給与明細・雇用契約書・源泉徴収票など)
- 資産状況がわかる通帳のコピー(申請月含めて、過去2ヶ月分が求められるケースあり)
- 賃貸借契約書の写し
- 家賃支払いの証明(振込明細や領収書など)
- 求職活動を行っている証明(ハローワークの求職登録票など)
- 住民票の写し(世帯全員分、続柄あり)
- 離職票や離職証明書(離職・廃業後2年以内の場合)
- 勤務日数や勤務時間の減少が確認できるシフト表など(雇用されているが収入が減少している場合)

申請する人の状況や、自治体によっては追加で書類提出を求められる可能性があります。

申請方法

申請をする際は、以下の流れで必要な書類の提出や申請を行ってください。

- 生活困窮者自立相談支援機関へ書類を提出
- 自立相談支援機関が居住する市区町村等へ申請書類などを送付
- 市区町村等が自立相談支援機関へ決定通知を送付
- 自立相談支援機関が申請者へ決定通知を送付
- 市区町村が直接賃貸人などへ、給付金を支払う

申請窓口には予約が必要なケースがあるため、事前に電話やHPで確認しておくと良いでしょう。申請を行うと必ず給付金が支給されるわけではなく、審査が実施されます。申請後は審査が行われ、支給決定までに一定の時間を要します。

書類不備や記入ミスなどがあると、支給要件を満たさず不支給となる可能性もあるため、入念に確認してから提出してください。また、審査に落ちても再申請は可能ですが、原則前回から状況に変化があることが前提です。

ハローワークに新たに登録をして求職活動を行ったり、預金が減って基準内に収まったりなどの変化がある際は、再申請を検討してみましょう。

住居確保給付金の延長方法

住居確保給付金の支給は、原則3ヶ月間です。しかし、状況によっては延長を2回まで、最長で9ヶ月間の支給が受けられます。延長をする際は、以下のような報告や自治体が求める求職活動実績や報告を継続して行う必要があります。

- 毎月「求職活動報告書」の提出
- 給与明細など、収入状況がわかる書類の提出
- 週1回以上の応募・面接など、継続した就職活動
- ハローワークで月2回以上の求職の申し込みや職業相談

誠実な就職活動が行われていること、収入状況が基準内になっていることがわかるような、書類の提出や活動の履歴が必要です。

住居確保給付金の注意点

住居確保給付金を利用する際には、いくつかの注意点があります。以下では、3つの注意点をご紹介しますので、申請前に一度ご確認ください。

対象となるのは家賃や引っ越し費用のみ

住居確保給付金の対象となるのは、家賃や引っ越し費用のみであり、他の諸費用は対象にはなりません。そのため、共益費・管理費・駐車場代・火災保険料など、付帯費用は対象外です。転居費用補助も、前家賃や敷金は対象にはなりません。

制度は住宅確保のための最低限の支援が目的とされており、付帯費用は該当しないためです。もし、共益費が家賃に組み込まれていたり、内訳が不明瞭だったりする場合は、申請時の契約者や内訳明細の提出が必要になるケースもあります。

また、対象とするのは賃貸物件における家賃のみであり、持ち家の住宅ローンには適用されません。持ち家で住宅ローンの支払いが難しい際は、売却や借り換えを行うなど、他の方法を検討する必要があります。

事業用物件は対象外

住居確保給付金の対象になるのは、生活拠点として使っている住まいのみです。事業用として借りている物件・店舗・事業所扱いの賃貸契約は、支給の対象とはなりません。

賃貸契約上、事務所や店舗などと記載されている物件や、店舗兼住居が契約上「店舗用」として記載されている場合は、支給対象外となる可能性があります。制度の目的である、住まいの安定を支えることが認められるよう、契約書にも明記されている際は、認められるケースもあります。

求職活動の報告義務がある

住居確保給付金は、家賃を支援する代わりに求職活動を行うことが前提とされている制度です。そのため、支給を受けている間は、必ず毎月1回就職活動の報告を行う必要があります。

一般的には、決められた期日までに求人への応募記録や、ハローワークでの相談記録などの活動を報告書として提出を行います。就職活動の進捗は、面接で確認される可能性もあるため、事前にまとめておくとスムーズに進むでしょう。

住居確保給付金と社会保険給付金は同時に受け取れる

住居確保給付金を申請する際に気になるのは、失業保険などの社会保険給付金は同時に受け取れるのかという点です。住居確保給付金と社会保険給付金は、一緒に受け取りができます。

ただし、注意するべき点は雇用保険の基本手当などは収入として扱われる場合があるため、支給要件に影響する可能性があります。失業保険でもらっている金額が多いと、住居確保給付金の収入基準を超えてしまい、審査が通らない可能性があります。

また、どちらの制度もハローワークでの相談や応募など、求職活動を行っていることが条件です。

住居確保給付金と生活保護の違い

住居確保給付金と生活保護は経済的に困窮し、生活費の支援が必要となった人に向けた支援制度です。

住居確保給付金は主に安定した住まいの確保が目的であり、家賃相当額を一定期間支給して、生活の立て直しを支援する目的があります。給付を受け取る代わりに、求職活動の報告をする必要があります。

生活保護は病気で働けなかったり、失業して収入がなかったり、生活費が足りなかった時に最低限の生活保護費の支援を行う制度です。日本国憲法第25条では、すべての国民に生存権を認めており、1項では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定められています。

ここで記載された権利を実現するための施策が、生活保護です。住居確保給付金の支給要件には、「申請者や申請者と同一世帯に属する者が生活保護を受けていないこと」といった内容が明記されています。そのため、生活保護との併用はできません。

生活保護の申請方法

生活保護を申請する際は、以下の流れと書類が必要です。

- 事前相談
- 保護の申請
- 保護費の支給

生活保護を利用する際は、まず住んでいる自治体の福祉事務所に、事前相談が必要です。生活保護の説明・生活福祉資金・各種社会保障試作などの活用ができないかを検討します。その後、生活保護を申請すると、調査が実施されます。

調査の内容は、家庭訪問などの実地調査・資産調査・就労などによる収入や社会保障給付の調査・就労の可能性などです。保護が決定すると、最低生活費から収入を引いた額が毎月支給されます。生活保護の受給が始まったら、収入状況の申告や年数回の訪問調査などが行われます。

申請時には、保護を受けようとする理由や資産及び収入状況などを記載した、申請書が必要です。また、調査の際には収入がわかる書類が必要となる場合があります。

どちらの制度を選択するのがいいか

両方の制度の支給要件に当てはまる場合、どちらの制度を利用するか悩む人も多いでしょう。どちらの制度に申請するか悩む際は、収入や資産状況によって判断するのがおすすめです。

収入や資産がほとんどない場合や、食費や光熱費などの生活費全般が困窮している場合は、生活保護の受給が向いています。一定の預貯金や資産があり、生活費全般ではなく家賃負担が課題となっている場合は、住居確保給付金が適している可能性があります。

住居確保給付金から生活保護への切り替えはできるか

住居確保給付金を利用しているが、途中で状況が悪化して生活保護を受けたい場合は、移行も検討してみてください。2つの制度の併用はできませんが、切り替えは可能です。

具体的には、住居確保給付金の支給期間内に就職ができず、経済的自立が難しい場合は、生活保護の受給へ切り替え対象になります。また、病気や怪我で就労が困難になった際や、家族の介護が必要になった時も、移行の対象となります。

まとめ

住居確保給付金とは、離職や収入の減少などによって家賃の支払いが難しくなった人に向けて、家賃分の給付を行う支援制度です。支援期間は原則3ヶ月で、最大9ヶ月までは支給が行われます。

また、引っ越しに関する費用の補助も認められているため、経済的に家賃の支払いが難しく、転居によって家計改善が見込まれる際は利用が可能です。支援を受けるには審査が行われ、場合によっては通らない時もあります。少しでもスムーズに申請を進めるためには、必要書類を不備なく揃えて提出してください。

関連記事

介護休業給付金とは?対象者や必要書類、書き方まで紹介! 年金生活者支援給付金制度とは?対象者や支給要件、申請方法などを紹介 傷病手当金とは?支給条件や申請方法、支給期間まで詳しく紹介

記事をシェアする

あなたへのオススメ記事

主婦年金(第3号被保険者制度)の廃止・縮小は本当?議論状況や今後の見通し、専業主婦への影響も紹介

社会保障制度の見直し議論の中で注目を集めている第3号被保険者制度。今回は、第3号被保険者制度の仕組みや縮小が検討されている背景のほか、今後の見通しなどをご紹介します。また、見直しが行われた場合の影響や、現時点で押さえておきたいポイントも解説。第3号被保険者制度に加入している人、今後加入する可能性がある人は、ぜひ最後までお読みください。

  • ちょっと得する知識
  • 2026年8月 6日

個人年金保険は50代からでも遅くない?メリット・デメリット、払込方法の違いまで紹介

将来受け取れる年金には、公的年金のほかに上乗せができる私的年金があります。しかし、「50代から始めても遅いのでないか」と不安に思う方も多いでしょう。今回は、個人年金保険に50代から加入するメリット・デメリット、利用が向いている人の特徴などを紹介します。老後の資金形成方法に悩んでいる50代の方は、ぜひご一読ください。

  • ちょっと得する知識
  • 2026年7月27日

介護休業給付金とは?対象者や必要書類、書き方まで紹介!

親や身内の介護で仕事を休むか検討している方へ、介護で仕事を休業した時に使える、介護休業給付金を紹介します。給付対象などの基本情報から、申請手続きについても解説。介護と仕事の両立で悩んでいる方は、ぜひ最後までご一読ください。

  • ちょっと得する知識
  • 2026年6月30日

あなたにあった働き方を選ぶ