"日本語教師"国家資格化スタート!ミドルシニアの"寄り添うチカラ"を活かして欲しい|株式会社TCJグローバル

  • 企業インタビュー

2024年に"国家資格登録日本語教員制度"が導入され、注目の日本語教師。しかし、「日本語教師には語学の専門性や経験、教員の経験は必須なのでは?」という誤解も存在しています。今回は、その背景や当校の取組みをご理解いただき、より多くのミドルドルシニア層の皆様に、日本語教師を知っていただければと思います。

【企業概要】

株式会社TCJグローバル 
・本社:東京 新宿区
・設立:1988年
中国、アジア圏などを中心に、欧州、北米、南米等常時30~40か国を超える多国籍な留学生に加え、日本に在住する就労者、生活者などの留学生以外の在留資格者向けのコースを含め、約2000名の生徒が在籍する。総勢500名に及ぶ日本語教師により受講生一人一人の夢の実現に向けて伴走し、ミッションで掲げる「日本語教育を通して世界中の人に"人生を変える機会"を提供する」の実現に向けて邁進する総合日本語教育機関。日本語教師の養成にも力をいれており、登録日本語教員機関・実践研修機関として文部科学省認定を受ける。

【代表プロフィール】

中澤匠代表取締役社長/学院長 
総合日本語教育機関のTCJグローバル代表取締役として学校経営、及びグループ会社である国際資格・学位のアビタス、持ち株会社の取締役COOとしてもグループ全体の事業推進を担当。パソナを経て、リクルートで求人、人材エージェント事業、国内旅行事業(じゃらん)の企画業務を経験。2012年から東南アジアの旅行サイトの事業開発の担当を経てインドネシア、フィリピンでトラベル事業を立ち上げ経営を担当。2020年から現職。

在留外国人数349万人へ!(2024年)注目の日本語教師は2024年4月より"国家資格登録日本語教員"へ

2024年"国家資格登録日本語教員制度"が導入され、注目の日本語教師。在留外国人数の増加が見込まれる中、外国人の受け入れ体制の強化が急がれます。当校ではその中心となる日本語教師の活躍の場が広く、社会人経験豊富なミドルシニアの方々のお力を是非お借りしたいと考えています。

しかし、「日本語教師には語学の専門性や経験、教員の経験が必須なのでは?」という誤解も存在しています。今回は、その背景や当校の取組みをご理解いただき、より多くのミドルドルシニア層の皆様に、日本語教師を知っていただければと思います。

現在、国内の在留外国人数は増加の一途をたどり、2024年には376万人を突破し、2025年には400万人に迫る勢いで増加を続けています。我が国の就労人口減少により、国内の全産業で外国人活用への積極的な取組が進められています。一方で外国人受け入れの労働環境、社会保障の整備等解決すべき問題は山積みです。

中でも"文化や言語の違いによるコミュニケーションの壁の解消"は最優先で解決すべき課題とされています。仕事、職場におけるコミュニケーション力は元より、日常生活における自国とは異なる生活習慣の違い等により、息苦しい生活を余儀なくされている外国人の方々が多いのも事実です。

その解決策として、日本語教育の質の向上と外国人の生活環境の改善を目的に、2024年より日本語教師の"国家資格登録日本語教員制度"が導入されました。現在、日本語教師の数は約4万6000人、前年比で105%の増加しています。しかし、日本語学習者数、在留外国人数は共に10%以上の増加が続いており、日本語教師は決定的に不足しています。質・量共に日本語教師の強化は早急に解決すべき社会課題と言えます。

"日本語教師には語学の専門性や経験、教員の経験が必須"は誤解

「語学(英語)を専門に学んだ事のない自分に、本当に日本語教師が務まるのか?」多くの方々が、日本語教師についてお持ちの疑問です。実は、日本語教師のシゴトは、語学の専門性もTOEICの高得点も必須ではありません。そもそも外国人の学習者は様々な国籍であるということです。

TCJでは、受講生の日本語の理解度(レベル)別にクラスを編成し、教師はクラスを担当します。前述のとおり、TCJには80か国を超える国々の受講生を迎えています。当然、各クラスは様々な母語を持つ方で構成されます。いわずもがな、各々の母語に合わせて同時に講義を進めることは物理的に困難です。

また、受講生の全員が英語を話せるわけでもありません。結果、授業は全て日本語のみで行うのが一般的です。このように、"日本語のみで日本語を教える「直接法」"という手法で全ての講義を行うのが、日本語教師の基本となっています。

日本における英語教育の多くは「直接法」ではなく「間接法(英語を日本語(母国語)で教える)」が中心ですが、日本語教育の現場で行われている「直接法」は「間接法」と比較してリスニング力とスピーキング力の向上に有効だと言われています。これが、日本語教師に、英語等の語学の専門性が不要という理由です。

全ての国の出身の方に、日本語のみで日本語を理解いただく「直接法」の講義を行うためには、相応の訓練が必要になります。そのために、国家資格においても420時間の養成講座の修了を義務付けています。一方で、どなたでもいつでも学ぶ機会さえつくれば、"日本語教師に挑戦できる"チャンスがあるということです。

着任直後のコロナ感染。そして新たな道を拓く

TCJの学校としての取組みについてお話しします。私がTCJに参画したのは、2020年の1月。その直後、私を待ち受けていたのは"コロナの感染拡大です。緊急事態宣言による海外からの入国の制限、外出制限による対面授業の停止等々、従来の学校運営を根底から覆される状況下でのスタートとなりました。

まずはこのパンデミックの渦中、何よりも受講生の安全安心の受講環境を提供するために、早急にオンラインでの講義体制を整備しました。また、オンラインでも従来以上の講義のクオリティを提供するために、講師陣が一丸となって創意工夫を重ねることに全力を上げました。

とはいえ、事業の柱である留学生の入国が全く許されない状況は、学校経営にとっては重大な危機です。そこで、着任時に準備した事業計画を根本的に見直すことを急ぎました。着任時に定めたミッション「日本語教育を通して世界中の人に"人生を変える機会"を提供する」の実現に向けて、新たな道を切り拓く機会にすることを心に決めました。

TCJの取組① 在留外国人(留学生以外)の就労者・生活者向けコースを事業の柱へ

力を入れたのが、在留外国人(留学生以外)の「就労者・生活者向けコース」の新設です。2024年現状の留学生の数が40万人(+6万1000人)に対し、技能実習生が45万人(+5万2000人)、技術・人文・国際業務の資格者は41万人(+5万6000人)と、留学生以外の在留資格者数も確実に増加しています。

留学生の場合は自国で一定の日本語教育の受講を前提としていますが、就労者などその他の在留資格の場合はそのばらつきが大きく、結果日本での就業や生活に苦労している人が多いのが実態です。

労働力不足解消の切り札として、大きな希望をもって日本に入国した外国人の多くが、コミュニケーションや文化の壁で苦しんでいる。日本語教育を通じて世界中の人々を幸せにすることを掲げるTCJこそ、彼らの役に立ちたい。就労者、生活者向けの支援コースの立ち上げを急ぎました。

「就労者・生活者向けコース」の入校生は入国間もない方~入国後1年位までの方に改めて、不自由を感じて入校される方で構成されます。講義内容も、就労者・生活者向けに新たに開発しました。留学生の多くが日本での進学に向けた総合的な対策ニーズが高いのに対し、就労者・生活者は「話す・聴く」へのニーズが圧倒的に高く、講義内容もそのニーズに応えられるように設計しました。

日本語学校として先駆けともいえる「就労者・生活者向けコース」は受講生より高い評価をいただき、受講生数も急増しており、この短期間で当校の事業の柱の一つとなっています。我が国の労働人口の減少、労働力の不足の深刻化への対応として、外国人労働者の増加が予測される中、TCJの「就労者・生活者向けコース」の更なる拡大への体制の強化に取り組んでまいります。

TCJの取組② 独自の教材開発とアセスメントの仕組みの導入で受講生の真のニーズに応える

併せて取組んだのは、独自の教材開発と、受講生の日本語習得状況を評価できるアセスメントの仕組み作りです。日本語学校の多くは、市販の教材を活用して講義を行っています。これまでは、教え方についてはPDCAを回してより良い教育に向けて創意工夫を続けてきましたが、教材のアップデートは叶わず教育の質の向上に限界を感じていました。

そこで取組んだのが独自の教材の開発です。これまでの講師陣が講習を通じて蓄積してきた経験、有効だった教え方の創意工夫を存分に盛込み、講師陣総出で取組みました。構成も従来の教材とは全く異なり、より細分化した学習単位(ユニットと呼びます)に編集しています。

受講生も講師も理解できている範囲と、理解できていない部分を分解して把握することができるように設計し、共に受講生自身の理解度の自覚が図れるように工夫しました。随分時間はかかりましたが、全ての教材を当校独自の教材で揃えることができました。

また、教え方の基本となる「型作り」を進めました。自社で手掛けた独自の教材で、まずは「型」に沿って講義を進めることで、質の高い講義を全員が実現する。その上で各々の講師が特性を活かして、さらに進化した講義を展開する。この「型」により、特にキャリアの浅い講師でも、早期に自信を持って講義を進めることができるようになりました。

併せて進めたのが、受講生の習得状況を的確に把握する「アセスメントの仕組み」の導入です。現在、外国人の日本語能力を図る代表的な基準は"日本語能力試験(JLPT)"で、日本語学習者に広く浸透している検定制度です。しかし、この検定には残念ながら「話す能力の評価」が入っていません。

そのため、検定では上位のN2を取得している外国人でも、仕事や生活のシーンで十分なコミュニケーションができない方も数多く見受けられる現状になっています。我々は日本での自己実現を目指す外国人にとって、日本語でのコミュニケーションは不可欠と考えています。

そこで導入したのが、コミュニケーションを含む独自の習得状況を測る「アセスメントの仕組み」です。JLPTなどよりも、より習得状況把握のメッシュを細かくし、"読む・書く・話す・聴く"の4つの技能を13のステップで測定します。習得の状況を、受講者・講師共通で見える化し、受講生の学びへの動機づけに繋げています。

これにより、日本語教師の経験や勘に頼ることなく、受講生各々に対し適切な教育を実践することが可能になりました。コロナ感染拡大の逆風の中、着任して5年、掲げたミッション「日本語教育を通して世界中の人に"人生を変える機会"を提供する」の実現に向けて、外国人に真に寄り添う独自の教育プログラム作りを進化させることができつつあると感じています。

様々な仕事経験、対人経験を持つミドルシニア層の寄り添うチカラこそ日本語教師に必要

グローバルNO.1の日本語教育機関を目指す当校。前述のように、教材の整備やアセスメントの仕組み作り、教え方の「型」化と、"良い教育"を実践する道具は整いつつあります。一方で、我々は日本語教育において最も重要なのは、受講生一人一人に向き合い、各々が入校時に掲げた「日本語を習得し、その先の実現したい姿」に向けてモチベーションを維持できるように、伴走し続けることだと考えています。

日本語が十分にできない外国人にとって、自国とは全く文化風習の違う日本でたった一人で過ごす生活はストレスの連続です。また、高い志を持って日本語習得に臨んだ彼らも、言語の中でも難易度が高いと言われる日本語の習得の「壁」にぶつかり、習得を諦めてしまうことにもなりかねません。

TCJでは様々な悩みや不安を抱える受講生一人一人と寄り添い、学びへのモチベーションを維持するために、クラス担当の講師を中心にバックヤードのスタッフ、定期面談を担当する専門スタッフ等全校を挙げて受講生を支える体制を強化しています。その中心となるTCJの日本語教師は、受講生一人一人の習得の状況に応じて適切な教育を実践すると同時に、受講生の日常生活の悩みや将来への不安を受け止め「自分のことを最も理解してくれる存在」であることを大切にしています。

中でも「就労者・生活者向けコース」におけるミドルシニア層の皆さんの活躍への期待は大きいです。留学生と比較して年齢の幅が広く、目的が様々な就労者や生活者の方々は、就業先の職場の人間関係や将来への不安、地域コミュニティとの問題等様々な悩みを抱えています。

その様な受講生の悩みへの、人生の経験豊富なミドルシニア層の教師の的確なサポートは受講生のチカラになっています。ミドルシニア層が培ってきた、若手メンバーの育成や、マネジメント経験、あるいは子育て等、"寄り添う力"は日本語教師にとって最も重要なスキルとして活かされています。

また、進学や就職を控える留学生に対しても、ミドルシニア層の講師には貴重な役割を担っていただいています。具体的には、留学生の進学や就職活動の試験対策の支援です。特に"面接対策"の指導において、実際に人事や面接官、あるいは新入社員の受け入れ等を経験されてこられたミドルシニア層の皆さんのアドバイスはリアルかつ実践的で、受講生の進学や就職活動の最終成果に繋がっています。

一般的なマニュアルの域を超えた、実際に業務に携わってこられたミドルシニア層の皆さんの経験は、受講生にとっても、当校にとっても大きな力・貴重な財産になっていただいています。実際に、TCJでも40代から70代後半までのミドルシニア層の方々が多数活躍しています。

日本語教師のシゴトは、語学の専門性もTOEICの高得点もいりません。受講生一人一人に寄り添う力こそ、最も重要な要素です。様々な社会経験、人生経験を通じて磨いてこられた対人コミュニケーション、ビジネス経験を通じて培われたマネジメントや、企業人としての知見や常識をさらに、受講生のために発揮していただきたいと考えています。

人生100年!いくつになっても活躍できる日本語教師への挑戦をお待ちしています!

日本語教師として一人前の講義や受講生のサポートができるようになるまでに、具体的にどんなステップを踏むことが必要なのか、本当に日本語だけで様々な国々の受講生に日本語教えることができるのか、疑問に思われる方も多いはずです。そういった皆様に向けて無料のセミナーを展開しています。

当校の養成講座では"模擬講座"を繰り返し実施する等、より本番の講義運営を実践する内容を中心に、日本語教師の難しさも楽しさも体験できる設計になっています。先輩教師の授業見学を時間が許す限り複数回繰り返すことで、自身の講義に活かせる引き出しを増やしたり、自身の講義に対する先輩教師のモニタリング・フィードバックを行ったりと、新任教師の皆さんが自信を持って教壇に立てるようなサポートを用意しています。

また、日本語教師の皆さんが長く活躍できるように、定期的な集合研修を通じて学校としても伴走させていただいております。先生方同士のコミュニケーションも日常的に活発に行われています。受講生の個別指導の方法や、講座に有効なオリジナルツールの創意工夫を共有したりと、チームとして取り組む風土が醸成できていると感じています。

在留資格者の増加により、日本語教師の質量ともに強化は不可欠です。また、日本語教師の活躍の場は、日本語学校の講義のみに留まらず、多数の外国人を活用している企業内での外国人就業者の支援や、外国人向けのプライベートレッスン等活躍の場は広がるばかりです。是非、多くのミドルシニア層の皆さんとお会いできること楽しみにしています。

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