【役職定年の年収減幅】対処法や転職を考えるタイミングについて解説

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役職定年とは、一定の年齢・職位に達した社員を一律で役職から退かせる制度のことです。役職定年を迎えると、課長や部長などの職位から外れるにともない、年収も大きく下がる場合がほとんどです。現在さまざまな企業で導入されている役職定年ですが、まだまだ働き盛りのミドルシニアにとっては苦しい制度。今回の記事では、役職定年の年収減の実態や、備える方法、転職を考えるタイミングまで詳しく紹介します。

人生100年時代を脅かす!役職定年による年収減の実態

人生100年時代と言われる現代では、60歳で定年し、余生を楽しむということが難しくなってきました。多くの企業で導入されている役職定年制度では、大きく年収が減ってしまう現状があります。では、実際にどのくらい年収が減ってしまうのか見ていきましょう。

大企業の5割以上が役職定年制度を導入

厚生労働省の調査(※1)によると、従業員1,000人以上規模の企業の半数が役職定年制度を導入しています。また、ダイヤモンド社の調査では、従業員3,001人以上の規模を誇る企業では、75%も導入されているという結果が出ています。この数字から、大企業では広く取り入れられていることがわかります。

年収1割〜3割減が目安

ダイヤモンド社のアンケート調査によると、役職定年による給料の減少幅は11%~30%が最多で、全体の53%を占めます(年収ベース)。3150%と回答した企業も全体の18%を占めることから、役職定年の年収減の辛辣な実態が理解できるでしょう。

※1 「平成21年退職金、年金及び定年制事情調査」厚生労働省

役職定年の備え1:年収減への対策をする

役職定年は、年収やメンタルなどさまざまなものに影響を及ぼしてしまいます。役職定年を迎えるにあたって、まずは年収減の対策から始めましょう。

ライフプラン&マネープランを見直す

役職定年に伴う年収減に備えるには、ライフプランを見直して毎月の支出を正しく把握することが大切です。50代を中心にミドルシニア世代は親の介護や子どもの結婚など、さまざまな費用が必要になるでしょう。第二の人生を楽しむフェーズに入る人も、趣味に使うお金も最低限確保したいはずです。

そうしたライフイベントや理想の生活の実現に必要な費用を算出し、どのように捻出していくかを計画していくのがマネープランです。マネープランを立てるときに必要になるのが「何にいくらくらいの出費があるのか」を把握すること。把握すべき費用の代表的なものに「住宅費(住宅ローン)」「教育費」があります。

役職定年後にも住宅ローンの支払いが多く残っていたり、子どもの大学進学が控えていたりする場合は、家計にかなりの負担になります。そのため、今のうちから繰り上げ返済を利用したり、収支を見直して節約したりなど、工夫することが大切です。

副業を始める

年収減を補填するには、やはり新たな収入源も必要です。ミドルシニア世代でも挑戦できる副業もありますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。おすすめは、体力的にも負担の少ないインターネットを活用した副業です。

気軽にはじめやすいのがポイントサイトを利用したポイ活です。ポイ活の仕組みとしては、広告クリックやアンケートへの回答、商品購入などのアクションでポイントを稼ぎ、稼いだポイントを現金や他社ポイントに換金できるといったもの。すぐに大きな収入にはつながりませんが、空き時間を有効に使うことができます。

その他、お店のサービス向上に貢献する覆面調査や、アフィリエイトブログの開設・執筆などもインターネットを使った副業として人気です。インターネットが苦手な方は、これまでの経験を活かした業界でのアルバイトなども良いでしょう。

資産運用を始める

老後の資金の不安を少しでも解消するために、現段階から資産運用を始めるのもひとつの手段です。資産運用は、株式投資や投資信託、ロボアドバイザーなどさまざまな方法がありますが、経験がなければリスクやハードルが高いように感じてしまいがち。そこで、資産運用初心者の方にもおすすめなのが「つみたてNISA」と「iDeCo(イデコ)」です。

つみたてNISA
長期・積立・分散投資を支援するために設けられた少額投資非課税制度です。金融庁が通常の資産運用であれば、投資によって得た分配金、譲渡益などに税金がかかります。しかし、つみたてNISAではかかりません。ただし、非課税投資枠には限りがありますので、コツコツと長期的な資産運用をしたい方におすすめです。

iDeCo(イデコ)
個人型確定拠出年金であり、私的年金制度のひとつです。「ミドルシニア世代が始めても遅いのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、たとえ期間が短くても、掛金の全額所得控除、利息運用益の非課税、受取時の税制優遇など、さまざまな税制メリットを逃してしまうのは惜しいところ。

また、2022年5月より加入年齢が延び、65歳になるまで掛金の積み立てが可能になったので、気になる方はできるだけ早めに始めるのがおすすめです。

役職定年の備え2:転職に向けた準備する

役職定年後も現在の勤め先に居続けるのは辛いと感じる場合には、転職するのも選択肢として良いでしょう。ここでは、役職定年の備えのひとつとして、転職に向けた準備と対策を紹介します。

リカレント教育を始める

リカレント教育とは、社会人が仕事で求められるスキルを磨き続けるために、必要に応じて就業と学習を繰り返す教育システムのことです。平均寿命の延伸や技術革新の急速な進歩、働き方の多様化によって、セカンドキャリアを形成するためには、新たなスキルや知識の習得やアップデートが必須になっています。

リカレント教育が受けられる場所は主に「大学などの教育期間」「公的職業訓練」「民間の専門スクール」の3つです。学べる分野の幅は広く、語学やIT系、観光、介護・福祉など、さまざまなニーズを満たせます。リカレント教育を受けることで転職先の選択肢が広がるだけでなく、新しい仲間との出会いもあるため、ミドルシニア世代にとっては大きな利点となるでしょう。

転職先を探す

年収維持を希望する方は、転職先を探すのがベストです。これまで積んできたキャリアや経験は財産になるので、それらを求めている企業と出会えれば、これまでの年収を落とすことなく働けるでしょう。

とは言っても、若手と比べれば求人が少ないのも事実です。転職サイトなどを有効に使い、求人探しを進めましょう。また、転職エージェントを利用すると、キャリアの相談にも乗ってもらいながら転職活動を進めることができます。

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役職定年の備え3:メンタルをコントロールする

役職定年は、一律で社員を役職から退かせる制度であり、制度を導入している企業の役職者は誰もが経験すること。しかし、自分の存在価値が見いだせなくなってしまったり、年収減に落ち込んだりと、精神的なダメージを受けてしまう方もいます。

そうならないために、役職定年の備えとして、メンタルのコントロール(モチベーション維持)の方法も知っておくと良いでしょう。

キャリアデザイン研修などに参加する

役職定年を迎えても、キャリアは続いていきます。今後どうすれば良いのか自分だけで悩んでも解決が難しい場合は、キャリアデザイン研修などの講習会や研修会に参加してみるのもひとつの方法です。参加することで視野が広がり、自分のキャリアも客観的に見られる可能性が高まります。

割り切って若手の育成・サポートに回る

役職がなくなったり、給与が下がったりすることで自分の価値が下がってしまったような感覚になる方もいるかもしれません。しかし、周囲のサポートに回り、みんなから感謝や信頼を寄せてもらうことで、新たなやりがいにつながります。若手の成長を近くで見ると、刺激をもらえ、新たなチャレンジをしてみたくなるかもしれません。

趣味や仲間との時間を大切にする

長年仕事に精を出していると、役職定年を迎えて時間ができても一緒に過ごす仲間がいないということも。老後に備えて、新しい趣味を見つけたり、友だちや仲間を作ったり、仕事以外の時間に軸を移すことも考えてみましょう。

ミドルシニアの友だち作りにおすすめなのが、地域活動やボランティアへの参加です。まずは参加者として様子を見て、雰囲気などが気に入れば運営者として参加することで、より深い交流が持てるかもしれません。

役職定年者の転職活動のタイミング

役職定年を迎える方で転職を考えるなら、活動のタイミングを逃さないようにしなければなりません。役職定年の転職に伴うメリット・デメリットを押さえた上で、転職するか、現在の会社にとどまるかをきちんと判断しましょう。

おすすめのタイミングは「役職定年前」

中途採用では即戦力としての活躍が期待されるため、高いスキルや豊富な経験のある人が採用されやすいのが一般的。しかし、年齢が高くなってしまうほど、支払う給与額が高くなったり、柔軟性がかけてしまったりなどの懸念点も増えるので、採用に至りにくい場合もあります。

実際に転職事例を見ていると、50代後半より前半の方がスムーズに採用されるケースが多数あります。20代や30代の頃のように双方の条件が一致する求人との出会いも少なくなるため、転職活動が長期化する恐れも視野に入れると「役職定年前」の50代前半を目安に転職活動をスタートすることをおすすめします。

役職定年前に転職活動するメリット

①年収を維持できる可能性が高くなる
中途採用の給与額は、基本的に前職の給与額をベースに決定します。例えば、もともと年収1000万円だったのが役職定年を機に600万円に下がった場合、役職定年後に転職すると、役職定年で下がった600万円を基準に給与額が決定される場合がほとんどです。そのため、役職定年後よりも役職定年前に転職する方が転職先で受け取れる給与額も高くなります。

採用に有利になりやすい
役職定年後は同じように役職定年や定年を迎えた方が転職市場に出てくるので、ライバルが多くなります。役職定年前であれば、役職定年後よりも比較的ライバルが少なく、転職先で働ける期間も長くなることからより有利に転職活動を進められるでしょう。

また、役職定年後の転職活動であれば「年収減への憤り」や「裁量権を失ってしまった不満」など、ネガティブ理由で転職活動をしている印象を持たれてしまう恐れもあります。役職定年前の転職活動なら、新しいチャレンジをする覚悟や前向きさが感じられるので、ポジティブな印象を与えるかもしれません。

役職定年前に転職活動するデメリット

役職定年前に転職活動を行うデメリットも押さえておきたいところですが、デメリットは特にありません。転職活動をしても、必ず転職をしなければならないわけではありません。納得できる条件の会社が見つからなかったり、後ろ髪を引かれる思いがあったりするようなら現職に残留するという選択もできます。

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まとめ

大手企業の半数以上が導入している役職定年制度。組織の新陳代謝を高めるために必要な制度ですが、役職定年を迎えるミドルシニア世代にとっては、年収減や役職から外れるなど、少なからず打撃を受けることになります。

仕事に別のやりがいを見出すのか、プライベートを充実させるのか、活躍のフィールドを別の会社に移すのか、最適解は人によって異なります。実際に転職活動をしてみることで気づきが多くありますので、役職定年に不安を感じる人は一度転職活動をしてみるのも良いかもしれません。

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