マンション管理会社の社員はどんな仕事をしているの?【専門家記事】
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- 公開日:2019年12月16日
シニア層を中心に人気を集めるのがマンション管理の仕事です。しかし、具体的な仕事内容はあまり知られてはいないもの。そこで、詳しい業務内容などをマンション管理の専門家にお話を伺いました。
マンション管理会社とは?
マンションの管理会社とは、管理組合から委託を受けて「管理事務」を行う会社のことをいいます。この管理事務とは、マンションの管理に関する事務のことで、以下の3業務を指します。
① 管理組合の会計の収入および支出の調定
② 出納
③ マンション(専有部分を除く)の維持または修繕に関する企画または実施の調整の「基幹事務」を含む事務
そもそもなぜ、管理組合が管理会社に管理を委託するのかというと、マンションは区分所有者によって構成される管理組合の話し合いによって管理がされますが、多くのマンションは自分たちだけでは管理しきれないことが多いため、外部の専門家である管理会社等に管理を委託することが多いのです。
マンション管理の何をどのように任せるかは、管理組合と管理会社との管理委託契約で取り決めています。管理会社はこの契約に基づき業務を実施します。つまり、管理会社は管理組合の運営をサポートする心強い会社です。
管理会社が行う業務内容とは?
管理会社が行う業務内容を詳しくみると「事務管理業務」「管理員業務」「清掃業務」「建物・設備管理業務」があります。これら業務を全面的に委託(全部委託方式)にするか、一部を委託(一部委託管理方式)にするかは管理組合が決定することになります。なお、警備業法に定める警備業務は、管理会社の業務内容には含まれていません。
管理会社への「全部委託」と「一部委託」とは?
全部委託(一括委託)方式
管理組合の行う大半の業務を管理会社に委託する方式です。区分所有者個人の労力や時間などの負担が軽減し、管理会社の専門的かつ総合的なサービスが受けられ、設備の故障など緊急時にも迅速な対応が期待できます。
一方で一部委託方式に比べて費用負担や、他人任せ等により区分所有者の管理への意識が低下する可能性があります。
一部委託管理方式
自主管理を基本としつつ、管理の一部を管理会社に委託する方式です。全部委託方式と比べると費用を抑えられますが、全部委託したときよりも区分所有者個人の労力や時間等の負担が生じます。
管理会社は、区分所有者から支払われる管理委託料(管理費の一部)を原資として、全部委託しているときは全ての業務を、一部委託の場合は一部の業務を遂行します。
マンションの管理会社にはどんな会社がある?
マンションの管理会社は、全国に約2,000社あります。管理会社の特色を大きくわけると、デベロッパー系と独立系に分類できます。
デベロッパー系とは、新築マンションを分譲するデベロッパーがグループにいる管理会社を指します。一般的には、親会社が分譲したマンションを管理することが多いです。ブランド力があり、独立系と比べると管理委託料は割高なことが多いでしょう。
独立系とは、親会社をもたずマンション管理を専門に独立している会社を指します。デベロッパー系と違い積極的に営業をしないと受託戸数を増やすことができないため、デベロッパー系と比べると管理委託料は割安なことが多いでしょう。その他、財閥系、ゼネコン系、ビルメンテナンス系、電鉄系などにも分類されることがあります。
毎年5月マンション管理新聞社より公表される「総合管理受託戸数ランキング」のうちトップ10は次のとおりです。
マンション管理業界は、大手管理会社と中小管理会社で受託戸数に差がある業界で、受託戸数の多い大手管理会社がマンション管理業界をけん引しています。
管理会社の社員はどんな仕事をしている?
管理組合と管理会社の管理委託契約の取り決めにより、次のような仕事を行います。
事務管理業務
管理費等の収納、収支予算・決算案の素案の作成、収支状況の報告、経費の支払い、会計に係わる帳簿の管理などの業務を行います。また、滞納者の督促業務の一部も管理会社の業務に含まれています。
管理員業務
マンションの現場で管理人が行う業務をいいます。管理員業務には受付業務、点検業務、立会業務、報告連絡業務などがあります。
清掃業務
日常清掃と定期清掃があります。
日常清掃は、管理人や清掃員が、床の掃き拭きやちり払いなどを中心とした清掃を毎日(勤務日)、もしくはゴミの収集日に合わせて週に数回、実施します。
定期清掃は管理会社から委託を受けた専門の清掃業者がポリッシャー(床洗浄機)などの専用の機材を用いた床の洗浄やワックス仕上げなどを月ごともしくは、数か月に1回など、一定の期間ごとに実施します。
建物・設備管理業務
マンションの建物、エレベーター、消防設備、電気設備などの法定点検や保守点検を行います。管理会社から委託を受けた協力業者が実施することが多いです。管理会社は、協力業者の点検結果などを管理し管理組合に報告します。
まとめ
日本の分譲マンションの約9割が、何らか管理会社に管理を委託しているといわれています。マンションの管理会社は、隣接する不動産会社などと比較すると平均年収が低い傾向にありますが、区分所有者から支払われる管理費等を原資としているため、景気に左右されにくい仕事と言われています。
管理会社によっては、50代60代のフロント担当者を積極的に採用しています。また、マンション管理員は、40代後半~80歳近くまで幅広く活躍しています。人生100年時代、長く安定的に働くことができるマンション管理会社での就職を検討されてみてはいかがでしょうか。
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