マンション管理人とは違うの!?マンション管理士の資格について

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国土交通省によると、国内でマンションに住んでいる人は約1,501万人(平成29年)。これは日本の人口の約1割に相当します。マンションストック戸数や住民も今後、さらに増えると考えられている今、注目されている資格が「マンション管理士」です。

マンション管理士とは?

マンション管理士についてご存知ですか?

「よくマンションの掃除をしてくれている、管理員さんのことでしょ」と思うかもしれませんが、残念ながら違います。

「マンション管理士」とは、2001年に施行された「マンション管理適正化法」に基づいて作られた比較的新しい資格であり、資格を取得して就くことができる仕事の総称です。

資格を取得すると、マンションの建物保全や修繕といった維持管理、住民間のトラブルなどに法的見地からアドバイスをするなど、適正なマンションの運営を支援する専門業務に携わることが可能となります。

マンション管理士のキャリアとは

では、マンション管理士の資格を持つ人材は、どういった企業から求められているのでしょうか。

マンションを管理する会社や、管理コンサルティング会社などが主ですが、ビルの管理会社や不動産会社でもマンション管理業務を行っている会社もあるため、大手企業の求人も少なくありません。

また、会社でマンション管理士の資格を活かして働くといった方法以外に、管理組合から報酬を得るといった形で、独立するという選択肢もあります。

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宅建や管理業務主任者とはどう違うの?

不動産に関する資格はマンション管理士のほか、不動産取引の専門家「宅建(宅地建物取引士)」や、「管理業務主任者」が存在し、「不動産3資格」などと呼ばれることも。

試験形式や科目で関連する部分が多いため、ダブルまたはトリプルで合格を目指す人もいるこれらの資格と、マンション管理士の違いについて解説します。

宅建とはどういう資格?

土地や建物の売買には高額なお金がつきまとうもの。そのため、不当な契約をお客様が結んでしまうことがないように、大切な情報(重要事項)を説明する必要があります。

しかし、この重要事項説明を行うことができるのは、「宅建」の資格を保有した「宅建士」のみ。つまり、不動産取引の専門家であることを証明する資格といえます。

不動産の売買を行っている企業では一定人数必要な資格だけあって、不動産業界ではニーズも高く、国家資格の中でも受験者数はトップクラスです。

合格の難易度は、例年15~17%と言われています。

管理業務主任者との違い

「管理業務主任者」も、マンション管理士と同様に2001年に認定開始となったマンション管理の国家資格です。

マンション管理業者が管理組合などに対し、管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な資格であり、マンション管理業者には一定の割合で人数を設置することが義務づけられています。

マンション管理士との違いをシンプルにするならば、以下のようなものです。

管理業務主任者=管理組合から委託を受けた管理業者
マンション管理士=マンション管理組合の顧問・コンサルタント

管理業務主任者は管理会社に属して、管理受託契約上の重要事項の説明などを行います。さらに受託した管理業務の処理状況の確認・報告も担います。

なお、合格の難易度はこちらも高く、例年22~24%と言われています。

マンション管理士の将来性、年収水準は?

マンション管理士の資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

先にもお伝えしたように、現在は日本に住む約10人に1人がマンションに住んでいる状況。都市部の土地事情などを考慮すると、今後もその比率は高まることでしょう。

また、マンションと一言で言っても、最新設備を備えた新築マンションやタワーマンション、老朽化対策が必要な築年数が古いマンションなどさまざま。

マンションに関する幅広い知識を持ち、マンション運営を適性かつ円滑に行うコンサルタントの役割は、今後より重要度が増すと言われています。

また、日本の高齢化に伴い、居住者の高齢化も進むマンションでは、管理組合の運営が難しくなっているのが現状。マンションの老朽化対策が必要な中、管理組合で対策を進めていくには、マンション管理士のサポートも必要です。

こうした背景から、今後、マンション管理士の需要は増加すると見込まれています。資格を取得していれば、マンション管理会社、マンション管理コンサルティング会社、不動産会社に転職する場合、有利に働く可能性は高いでしょう。

マンション管理士の年収は、勤務先によって異なりますが、年収330~550万円が中心です。平均年収は約400万円。実績を積んだ優秀なマンション管理士の中には、年収800万円ほどになる者もいます。

不動産会社などに就職した場合は、給与に加え、資格手当が支給される場合もあります。

マンション管理士の仕事内容

マンション管理士の仕事は、管理組合が抱えるさまざまな問題の解消に向けてコンサルティングを行うこと。その中の代表的な業務内容について解説します。

顧問業務

管理組合と顧問契約を結び、管理組合が行う業務やマンションの管理に関するさまざまな問題についてアドバイスやサポートを行います。
そのほか、理事長代行や会計処理の代行などの代行業務も。理事会や総会に出席して助言、総会の議案書点検、管理会社との調整なども行います。

管理委託契約見直し業務

管理会社に支払っている管理委託費や業務内容を見直します。コスト面・サービス面の双方において、管理会社の業務が適切かどうかを見極めます。

管理規約見直し業務

マンションも築年数が増すことによって、マンションの管理費などを見直す必要も出てきます。管理組合が定める管理費や修繕積立金の使い道について、今の時代に即した内容に見直していきます。

改修の計画・立案

マンションが資産としての価値を保つには、数年に一度の大規模な補修が必要なもの。重要な仕事の一つに「大規模修繕計画の作成」が挙げられます。
建物の状態を確認し、必要な修繕計画を立案。修繕計画の管理組合への説明や、工事業者への発注なども行います。

マンション管理士の試験内容・難易度

マンション管理士は国家資格。資格を取得するためには、マンション管理士試験を受験し、合格しなければなりません。受験者数や合格者数、難易度や試験内容について解説します。

マンション管理士試験とは

マンション管理士試験は、年に1回実施されます。試験日は通常11月の最終日曜日(2018年は11月25日実施)。受験資格は設けられておらず、年齢・性別・学歴など問わず、誰でも受験が可能です。

実施地域は、札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市並びにこれらの周辺地域です。

試験は11月ですが、受験案内・申込書は例年8月から配布されます。必要書類と申込書を公益財団法人マンション管理センター 試験研修部まで郵送すれば申し込みは完了です。受験手数料は9400円(郵便振替または銀行振込により納付)。合格発表は翌年の1月です。

試験の内容とは

・マンションの管理に関する法令及び実務に関すること
・管理組合の運営の円滑化に関すること
・マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること

概ね上記4つの範囲が出題されます。試験範囲は法改正などもあった場合はそれに準じた勉強も行なうため、幅広い準備が必要となります。

勉強は、書店などで入手できるテキストやマンション管理士試験の過去問題集などを参考に独学でも可能です。過去問題はマンション管理センタ―の公式サイトでも公開されており、ダウンロードもできます。

独学のほか、マンション管理士の通信講座や専門学校もあるので利用してみてもいいでしょう。各スクールでは、解答速報や模範解答なども公開しているので、参考にしてもいいかもしれません。

マンション管理士試験は、出題50問・50点満点。合格最低点は34~38点(2018年度は38点)なので、1点の重みが非常に大きい試験と言えるでしょう。

難易度は?

2018年のマンション管理士試験の受験者数は12,389人で合格率は975人。合格率は7.9%でした。

2010年~2017年を見ても、マンション管理士の合格率は10%を切っており、難易度は不動産3資格の中でも高めと言えます。

どんな対策が必要?

マンション管理士試験に合格するために必要な勉強時間は、一般に600~700時間程度と言われています。

1日2時間勉強すると考えると、1か月のトータルな勉強時間は約60時間。こうして考えると、1日2時間の勉強で、約10か月~1年必要であることがわかります。

過去問題も公開されており、テキストも販売されているため、独学でも勉強は十分可能です。しかし、なかなか自主的に勉強を継続できない場合や、効率的に勉強するために、通信講座や専門学校に行く人も多いようです。

勉強は繰り返しテキストを読み、過去問題を解き、学んだことを定着させることが中心となります。特に毎年のように改正される建築基準法などの法令については、出題される傾向が高いため、しっかり押さえておきましょう。

まとめ:50代・60代の受験者も多いマンション管理士試験

マンション管理士試験は難易度も高く合格率は例年1割未満ですが、将来性が高い資格であるためか受験者数は毎年1万人以上。50代・60代のミドルシニアの受験者も多く、中には80代で合格した人もいます。

マンション管理士は相談・管理業務やコンサルティングが業務の中心であるため、人生経験豊富なミドルシニアに適した仕事とも言えます。

これからの需要も高く、長く高水準の収入が期待できる「マンション管理士」の仕事に興味を持ったならば、一念発起し資格取得のため努力してみるのもいいかもしれませんね。

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