製造業へ転職を検討するときにおさえておきたいポイント
- 働き方を選ぶ
- 公開日:2019年3月26日
ミドルシニア世代の中には、「ものづくり」などへの憧れから、「製造業」に対して漠然と好印象を持つ方もいるのでは。そうはいっても、仕事にするとなれば別物です。中高年から製造業への転職する場合、おさえておきたいポイントをまとめました。
製造業へ転職する前に知っておくべきこと
モノづくりに関わり、未経験OKの仕事も多いことから、製造業の求人は世代問わず人気があります。しかし、「製造業」とひとことで言ってもその仕事内容はさまざま。職種や生産するモノによって、やりがいや大変さも異なります。
パンや冷凍食品といった食料品や洋服、冷蔵庫やテレビといった家電、スマートフォンなどの情報機器、自動車など、私たちの生活に欠かせないさまざまなモノを工場で製造する製造業。実際に工場で作られた製品が出荷され、消費者のもとに届くまでには多くの工程が必要で、多岐にわたる職種の人が関わっています。
製造業というと、完成した商品のPRや販路拡大を行う営業、商品の企画・開発、デザイン・設計といったクリエイティブな職種をイメージするかもしれません。そのような職種での求人募集も行われていますが、ミドルシニア層を対象とした求人では数は多くないのが実情です。
募集が多く行われるのは、工場での「軽作業」の仕事が主。工場勤務の雇用形態は、正社員をはじめ、派遣やバイト、パートなどさまざまです。
製造ラインが常に稼働している工場であれば、稼働時間に合わせ、交代でシフト制が組まれます。工場によっては短時間勤務や土日のみ勤務、夜間勤務などもあるので、ライフスタイルに合わせて働きたいと考える人にはおすすめです。
それでは、製造業においてミドルシニア層のニーズが高い職種や、仕事内容について解説しましょう。
製造業の具体的な仕事内容とは
<製造・組み立て>
工場、作業場で製品や部品の一部などを組み立てる作業です。ベルトコンベアなどで流れてくる製品や部品に、別の部品などを取り付けて一つの製品を完成させます。一つの製品を大量に製造するための方法で「ライン作業」などと呼ばれることもあります。
<加工・仕上げ>
製品や部品の一部に「色を塗る」「シールを貼る」「凹凸をなくすためのやすりがけ」といった加工を行います。製品・作業によって、機械を使用するケースだけでなく、手動の場合もあります。
<検品・点検>
作られた製品や部品を点検・検品を行います。全てチェックを行う「全数検査」と、一定の割合でサンプルを抜き取って検査を行う「抜取検査」のそれぞれがあります。
<仕分け・梱包>
完成した商品や部品などを一つひとつ梱包する作業です。仕分けは種類別や用途別など、目的別に分ける作業のことを指します。
<生産管理>
製造数・納期などの計画に基づいて製品が生産され、きちんと出荷できるように体制を整えて管理する仕事です。
製造業の面白みとは?
食料品・日用品・家電・携帯電話など私日々の生活に欠かせない製品が、さまざまな工程を経て、ひとつの製品になる。製造業の魅力を一言でいえば、「モノづくりを体感できる」ことだと言えます。
製造・梱包など仕事は違えど、間接的に直接的に製品づくりに携わり、多くの人の豊かな暮らしにつながっている、という実感を得ることができるでしょう。
工夫次第で生産性の向上もできるのも魅力の一つ
現在の工場の製造は、人力で一つひとつ作られていた時代とは異なり、生産工程の自動化が進んでいます。
製品の質に偏りがでないようマニュアルも徹底され、作業の分業が進んでいます。一度工程を覚えてしまえば、比較的楽に作業をこなしていくことも可能。これが、製造業未経験のミドルシニア層でも、挑戦しやすい理由といえます。
これを聞いて「なんだ、単純作業か」と思う方もいるかもしれません。しかし、ライン作業一つでも、ちょっとした工夫によって作業スピードが格段に上がることも。
「効率よく品質のよいものを作る」ということを念頭に作業をすることによって、省スピード化も可能。こうした点が評価されれば、待遇が向上する場合もあるようです。ミドルシニアの豊富な経験も活かせそうですね。
製造業の大変なところとは?
未経験でも挑戦しやすく、モノづくりが体感できる製造業。では、大変なのはどのようなところなのでしょうか。
やっぱり体力的な面が大きい
実際に製造業に携わっている人からは、「繁忙期には残業もあり、作業量が多い」「夜勤がある場合は体調管理が大変」といった口コミが寄せられています。体力もある20代・30代の頃とは違い、残業や不規則なシフトが続くと体力的にきつい場合もあるかもしれません。自分の体力を過信せず、無理なく働けるように体調管理に努めることが大切と言えるでしょう。
また、工場によっては職場環境が整っていないところもあるようです。「工場内の温度が一定に保たれていなかったので、夏は暑く、冬は寒かった」といった体験談を寄せている人もいました。きつい環境下での長時間作業は体力が奪われてしまうので、職場環境のチェックはしておきたいところです。
人間関係もトラブル要因の一つ
工場の作業というと、それぞれが黙々と作業をこなすイメージが強いため、あまり従業員同士のコミュニケーションはないのでは、と思うかもしれません。しかし、機械をコントロールしているのは人であり、工場を円滑に稼働させるには人とのやり取りが不可欠なのです。
「仕事中は作業に集中できる環境だったけど、食事休憩が苦痛だった」などの声も。どんな人が働いているかは把握できませんが、休憩が個別なのか一斉なのかは入社前に確認も可能ですので、気になる人は面接の際に聞いてみるなどしましょう。
製造業へ本気で転職したいなら
これまで製造業の仕事内容や、魅力・大変さを紹介してきました。「大変なこともわかったがモノづくりに関わりたい」と前向きに転職を考えている人に向け、転職活動で気を付けておきたいポイントについてまとめました。
条件だけにとらわれない
製造業の仕事を探していると、「週に4日の勤務で●●円!」「勤務日は自由」など、さまざまな条件の求人情報があることがわかります。
せっかくの転職なので、できるだけ収入が高かったり、休日が取りやすいところを選びたいもの。しかしミドルシニアでの転職の場合、目先の高条件だけにとらわれずに将来のキャリアアップもしっかりと考えておきたいところです。
安定して働きたい場合、派遣やアルバイト、契約社員からのスタートだとしても、将来は正社員として雇用される可能性はあるか確かめておくことも必要です。
製造業未経験でスタートした場合、まず最初は製造ラインでしっかりと技術を習得することが必要となります。その後は、製造ラインのサブリーダー、リーダー、現場を統括する役職へとステップアップするというのが、製造業の一般的なキャリアプランです。
入社後、どんなキャリアを積むことができるのか、面接の際にきっちりと確認しておくことが重要と言えるでしょう。
転職理由・志望動機を明確に
どの業界への転職にも言えることですが、転職を成功させるためには、明確でしっかりとした転職理由を持つことが大切です。
「他に転職先がないから」「単純作業なので楽そう」「人と話さなくてよさそう」といった後ろ向きな理由ではなく、「モノづくりに積極的に関わりたい」など、前向きな意思をアピールするようにしましょう。
志望動機としては、「製造業に興味がある」という漠然としたものではなく、「扱っている製品への興味」、「モノづくりへの熱意」などを具体的に伝えると、説得力が増します。
「ゆくゆくはライン作業だけでなく管理業務にも挑戦したい」などキャリアアップに前向きに取り組みたい意向を伝えてもいいでしょう。
求人している会社が「長期間働いてくれそう」「まじめに働いてくれそう」と感じるような内容を盛り込んでいきましょう。
まとめ:体力やコミュニケーション力、モノづくりへの熱意も必要
人々の豊かな生活に直結する商品づくりに携わる製造業は、求人数も多く、未経験からでも挑戦できる仕事も豊富。そのため、安易に製造業に飛び込む人も少なくありません。
ただし長期間働くことを考えると「モノづくり」への熱意は不可欠。体力やコミュニケーション能力が必要なこともしっかり理解した上で転職を検討していきましょう。