マンション管理士とはどんな仕事? 試験は難しいの?【専門家記事】

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マンション管理士とはどんな仕事? 試験は難しいの?【専門家記事】

人生経験豊富なシニア層に向いていると言われる仕事のひとつが「マンション管理士」です。国民の約8人に1人がマンション住まいの現在、ますます需要が増加すると見込まれるマンション管理士の業務内容や資格について、専門家にお話を伺いました。

この記事の目次

    マンション管理士とは?

    マンション管理士とは、マンションの管理に関する専門的知識を持って管理組合の運営や、大規模修繕工事等の建物に関わる技術的な問題など、マンションの維持・管理に関する助言や指導といったコンサルティング業務を行う専門家です。

    独占業務はありませんが、マンション管理士と名乗るためには、マンション管理士試験に合格し、登録する必要があります。

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    マンション管理士の仕事とは?

    マンション管理士の主な仕事内容は、次のとおりです。(※独立開業した場合を想定)

    1.相談業務

    管理組合の役員などから、マンション管理に関する相談に対して、回答や必要に応じた助言を行う。

    2.運営診断業務

    管理規約、総会の決議、第三者との契約内容等と実際の運営状況とを照らし合わせて、管理組合の運営の適法性及び適正性を診断し、問題点や改善の提案など行う。

    3.立会業務

    マンションの管理や建替えなどに関する様々な会合にオブザーバーとして立ち会い、説明や質疑対応など行う。

    4.顧問業務

    理事会が行うべき日常業務全般または特定の業務について、トータル的な助言・指導、その他の援助を行う。

    5.管理規約に関する業務

    管理規約の適法性及び適正性を診断し、見直しを行う場合は改定案の作成、新規に設定する場合は規約案の作成などを行う。

    6.管理委託契約に関する業務

    管理委託契約及び管理業務仕様の適法性や妥当性などを診断し、問題点や改善の提案などを行う。管理委託契約の見直しを行う場合は、必要な業務を補助する。管理会社の変更を伴う場合には、そのために必要な業務を補助する。

    その他、長期修繕計画や大規模修繕工事に関するコンサルタント業務、管理組合の役員不足に対応すべく「管理者」または管理組合が法人である場合は「理事」の地位に就き、区分所有法や規約に定められた事項、総会の決議を実行するなど、第三者管理者等の業務を行う方もいます。さらに、講演会での講師、執筆など活躍フィールドは幅広いです。

    管理業務主任者との違いは?

    「マンション管理士」と「管理業務主任者」は、いずれも2001年施行の「マンション管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」によって誕生した国家資格です。しかし、資格の性質や目的は異なります。

    管理業務主任者とは、マンションの管理会社が管理組合等に対して管理受託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な資格者をいいます。

    また、マンション管理会社は事務所ごとに、委託を受けた管理組合30組合につき1名以上の専任の管理業務主任者(管理業務主任者証の交付を受けた方)の設置が義務付けられています。

    管理業務主任者の「独占業務は4つ」

    1.管理受託(委託)契約前の重要事項説明
    2.重要事項説明書への記名・押印
    3.管理受託(委託)契約にかかる契約書への記名・押印
    4.管理事務に関する報告

    管理業務主任者になるには、管理業務主任者試験に合格後、一般社団法人マンション管理業協会に管理業務主任者として登録し、管理業務主任者証の交付を受ける必要があります。試験の合格率は概ね20%台です。

    マンション管理士になるには?

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    マンション管理士になるには、マンション管理士試験に合格し、公益財団法人マンション管理センターにマンション管理士として登録することが必要です。実務経験などの登録要件はありません。試験の合格率は概ね7%~9%という難関資格です。

    マンション管理士の試験概要は?

    ・受験資格: 年齢・性別・学歴等の制限は一切ありません。
    ・試験地 : 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇及びこれら周辺地域
    ・試験形式: 全50問、4肢択一のマークシート方式
    ・試験内容: 主に次の4分野から出題されます。

    ①マンションの管理に関する法令及び実務に関すること
    建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、民法、不動産登記法、マンション標準管理規約、マンション標準管理委託契約書 等

    ②管理組合の運営の円滑化に関すること
    管理組合の組織と運営(集会の運営等)、管理組合の業務と役割(役員、理事会の役割等) 、管理組合の苦情対応と対策、管理組合の訴訟と判例、管理組合の会計 等

    ③マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること
    マンションの構造・設備、長期修繕計画、建物・設備の診断、大規模修繕 等

    ④マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
    マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針 等

    ※出題に係る法令等については、毎年4月1日において施行されている法令等。

    マンション管理士の就職先や年収は?

    マンション管理士の就職先として最も多いのは、マンション管理会社です。

    管理業務主任者のように、独占業務はありませんが、難易度から管理業界で評価が高く就職に有利です。管理会社によっては、資格手当や昇給する際の必須資格になっていることもあります。そのほか、不動産会社、ビル管理会社、施工管理会社などが就職先としてあげられます。

    また、雇用形態などによって違いはありますが、マンション管理士の年収はおおよそ300~800万円です。独立開業した場合は、年収1,000万円を超える方もいらっしゃいます。

    マンション管理士は、シニアに大人気の資格!

    今やマンション住民は全国1,500万人を超え、国民の約8人に1人がマンション住まいです。築30年以上のマンションも200万戸を超え、10年後には1.85倍、20年後には約2.8倍の560万戸に達すると言われています。

    マンション管理士は「公益財団法人マンション管理センター」、管理業務主任者は「一般社団法人マンション管理業協会」が管轄しています。試験案内などは、それぞれのホームページに掲載されます。マンション管理士と管理業務主任者は、試験範囲も試験日も近いため、ダブル受験する方も多くいます。また、マンション管理士試験に合格している方は、管理業務主任者試験で一部の試験問題が免除されます。

    シニアの豊富な人生経験や応対能力は、マンション管理士にとても向いています。実際の受験者年齢も40~50代で全体の50%、60代以降で20%以上占めるほどシニアに人気がある資格です。今後、益々の活躍が期待される「マンション管理士」の資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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